2018年11月13日(火)

問題解決など次世代市場、30年に9兆円規模に

2018/3/20 15:24
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ポストスマホがもたらすのは生活の利便性だけではない。手の中に収まる小さな端末から解放されれば、ヒトは眼前の世界にもっと敏感になる。見る、嗅ぐ、味わう、聴く、触る――。次世代IT(情報技術)は人工知能(AI)による問題解決や提案を通じて、よりヒトの五感に近づく。経済産業省などによると、その市場規模は現在の1兆円から2030年には9兆円に広がる見込み。一方、機器のハードと情報処理が中心の従来型ITは13兆円から半分以下の6兆円に市場が縮小し、両者の規模は逆転する。

既に変化の芽は身近なところに出ている。スマホの台頭でパソコンの国内出荷台数は、過去10年で2割減り年1000万台規模になった。デジタルカメラも年350万台と、3分の1に縮小している。

現在は脚光を浴びるポストスマホといえども、世界で飽和状態を迎えるのは時間の問題かもしれない。米調査会社ガートナーによると、21年までのスマホ市場は年平均0.8%の成長にとどまる。数字の上では、民間エコノミストがはじいている日本経済の18年度実質成長率が平均1.2%。実感なき景気回復よりも、スマホ市場の成長率はさらに低いことになる。

ポストスマホ時代をリードするハードはウエアラブル端末や仮想現実(VR)関連、ロボットなど、模索が続くが決定打はこれから。ITバブルやリーマン・ショックがそうであったように、目先のハードや企業収益に目を奪われると「未来の本質」を見逃してしまう。

MM総研の中村成希執行役員は「ウエアラブル端末の普及などで、ポストスマホ時代は自動車、医療、教育を中心に新たなグローバル経済圏が出現する」と話す。情報が加速度的に国境や人種の壁を越えれば共通の価値が生まれ、人間が自らの五感に近い判断を下しやすくなるという見立てだ。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の対象は30年にIT関連機器全体の8割に広がる見込み。

市場環境が大きく変わるなか、日本が勝ち残るには産業の新陳代謝を繰り返しながら新たな価値をつくるしかない。平成の幕開けは1989年。現在、東京株式市場に上場する企業は3700社で、このうち89年以降に上場した「平成生まれ」の比率は約6割にまで高まった。平成に入り年平均100社のペースで計3100社強が上場し、経営不振などで退場した企業も約1650社ある。

ただ、平成生まれの企業も株式時価総額では全体の約3割どまりと、97年上場のアマゾン・ドット・コムや2004年のグーグルが世界の時価総額十傑に並ぶ米国の株式市場には及ばない。日本国内でも産業の新陳代謝がさらに進み、経営力で企業を選別する動きが広がれば、次世代ITの普及にも弾みがつきそうだ。(宮住達朗、薬文江)

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