2018年9月21日(金)

入眠を音声ガイド 帝人が企業の睡眠支援サービス

2018/3/20 6:30
保存
共有
印刷
その他

 帝人は4月から、企業の社員の睡眠の質を測るサービスを販売する。腹部に巻くセンサーで呼吸のパターンを読み取り、入眠できるようアプリの音声で深呼吸のタイミングを伝える。健康経営の方針を取り入れる企業が増えるとみて、2019年度までに500件の導入を目指す。

腹部にウエアラブルセンサーを巻いて呼吸の深さや速さを測定する

腹部にウエアラブルセンサーを巻いて呼吸の深さや速さを測定する

 帝人のサービスを利用したい企業はまず社員に、帝人が作成したアンケートに回答してもらう。その結果から本人の睡眠の質についてタイプ分けする。タイプには寝付きが悪い緊張型など4種類ある。

 緊張型などの人には、腹部に巻くウエアラブルセンサーを提供する。これとスマートフォン(スマホ)アプリを無線のブルートゥースでつなぐ。この2つはイスラエルのベンチャー企業が開発した「ツーブリーズ」と呼ぶセット機器だ。

 センサーで呼吸の速さと深さを読み取り、スマホにデータが送られる。スマホアプリが呼吸データをもとに、深呼吸によって自律神経をリラックスさせ快適に眠れるよう音声でガイドする。利用者が寝たと判断すると、電源が自動で切れる。

 スマホアプリでわかるデータには呼吸のリズムや入眠する時間、呼吸をはく長さなどがある。グラフで呼吸のリズムなどを示す。ガイドに合わせてゆっくり呼吸し、どれだけ呼吸を合わせられたか「同期率」を測り、翌朝にアプリでセッションレポートとして示す。

 睡眠が浅いタイプなどの人には、帝人が開発した別のアプリ「フミナーズ睡眠コーチ」を提供する。利用者は睡眠に関する質問に答え、就寝前のカフェイン摂取やスマホ閲覧など眠りの質を落としている行動を特定する。次の日にどうしたら体調が良くなるかなど、生活習慣作りに役立ててもらう。どのタイプも8週間のプログラムとなる。

 帝人はフジクラと17年に3カ月間、実証実験に取り組んだ。睡眠時無呼吸症候群などを除く3タイプの社員約100人を対象とした。

 期間中に、アプリの70項目ある「夜中に目が覚めましたか」などのアンケートに回答、自分の睡眠状態について理解する。フジクラ健康経営推進室の浅野健一郎副室長は「日々の生活習慣から睡眠の質を低下させる要因を知ることが重要」と話す。

 実験後、睡眠の質が「良好」と感じる人が4倍になり、不眠症の心配がある人は1割減った。イライラが和らいだ人も多かった。

 サービスでは、睡眠に関する情報を会社が知ることについて、社員の承諾が前提となる。情報を閲覧できる人を制限できる。会社は産業医や保健師に診てもらうよう促すなどの対処が可能だ。

 睡眠時無呼吸症候群の人には、就寝時にマスクのように取り付けて酸素を体内に送る装置「CPAP(シーパップ)」を医療機関を通じて提供する。

 利用料は社員数などにより、年間で数十万円から数百万円という。

 フジクラの浅野氏は「社員が心身とも健康を保てるよう対策を打ちたい。会社として医療関連の支出は増えるが、長い目で見れば大きな手術を避け、削減につながる可能性がある」と話す。

 1日にディスプレーを見る時間が長いと入眠しにくくなるといわれる。平日と休日の睡眠時間の差が大きいと生活のリズムが崩れ、仕事にも響く。こうしたことは多くの人が経験している。帝人のデジタルヘルス事業推進班の浜崎洋一郎班長は「5人に1人が睡眠に何らかの課題を抱えているのが現状」と警鐘を鳴らす。

 特に睡眠の質の低下が人命に関わる運輸業や、工場で大型の機械を扱う製造業に需要があるとにらんでいる。

 調査会社シード・プランニング(東京・文京)によると、国内の20年の健康関連市場は16年に比べ2割増の約1兆6700億円に達する。人間ドックやストレスチェックなどと並び睡眠指導などのサービスが増えていくと見込まれている。

(企業報道部 薬袋大輝)

[日経産業新聞2018年3月20日付]

秋割実施中!日経Wプランが12月末までお得!

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報