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英離脱まで1年、企業備え トヨタはEU内で再認証も

【ロンドン=篠崎健太】英国の欧州連合(EU)離脱まで、ほぼ1年となった。英とEUは19日、離脱後の激変緩和措置である「移行期間」を設けることで暫定合意した。離脱は2020年末まで実質先送りされるが、通商関係をめぐる今後の交渉は難航が必至だ。産業界は様々な事態を想定し、対応策を練り始めている。

トヨタ自動車の英バーナストン工場

欧州自動車工業会(ACEA)は同日、英がEUから離脱した後も、英とEU域内で自動車を販売するための認証制度を現状のまま保つことを求める声明を出した。22~23日のEU首脳会議を前に車生産や販売の混乱回避策を改めて訴えた。

EU域内で販売する新車は、安全や環境性能などの基準を満たすことを示す「型式認証」を受ける必要がある。ACEAは、英かEUのいずれかで取得した認証が、もう一方の市場で使えなくなる事態が「業界の大きな懸念だ」と強調。英のEU離脱後も、型式認証の有効性を互いに認めるべきだと主張した。

ACEAは、通関手続きの簡素化に向けた準備を今から始めることも要求した。部品や完成車などの通関の手続きが複雑化すれば「最悪の場合は生産ラインが止まる恐れがある」と警告し、英とEUの円滑な通商関係が維持されるように求めた。

トヨタ自動車は英中部バーナストン工場で17年に、「オーリス」など約14万4千台を生産。約8割は欧州に輸出した。認証については、「EU域内の他の国での再認証などを検討している」(トヨタ)という。欧州本部本部長を務めるヨハン・ファンゼイル専務役員は「通関手続きを混乱させることはできない」と語る。

日立製作所は英ロンドンに鉄道事業の世界本社を構え英シフトを進めていたが、対策として欧州各国に点在する拠点の活用に乗り出した。イタリア北部のピストイアにある鉄道車両工場では試験棟や大型の溶接設備を拡充して生産能力を高めた。従来はイタリア国内向けに高速鉄道や地下鉄の車両生産を手がけていたが、欧州域内や米国などへの輸出拠点としても活用していく。

当局の規制を受ける業種の危機感も強い。英製薬大手アストラゼネカは、研究開発拠点の英とEU域内での二重化をはじめ、ライセンスの一部移転も含めた緊急計画を練っている。

米コンサルティング会社オリバー・ワイマンと英法律事務所クリフォードチャンスは英がEUから無秩序離脱した場合の企業への影響をまとめた。自由貿易協定(FTA)を結べないまま世界貿易機関(WTO)ルールの通商関係に移ると、英とEUの企業コストを年間で計580億ポンド(約8兆6千億円)押し上げるという。

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