凸版印刷、急速充放電できる新型2次電池に本格参入

2018/3/16 18:00
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凸版印刷は、次世代2次電池事業に本格参入することを2018年3月14日に発表した。エクセルギー・パワー・システムズ(東京・文京)と18年2月9日に資本業務提携を締結しており、約5億円の出資と、「エクセルギー電池」事業の共同推進に合意した。エクセルギー電池は、これまで常用電源からの電力供給が必要だった医療機器や、高出力の回生電力の充電を活用した重機などに活用できるとする。

エクセルギー・パワー・システムズは、水素を利用した蓄電池や燃料電池の開発、製造、提供を行う東京大学発のベンチャー企業。凸版印刷は、エクセルギーが創立された11年から、エクセルギー電池の共同開発や事業化に向けた実証を推進してきた。今回、連続的に急速充放電が可能で、耐久性の高い2次電池の開発にメドが立ったため資本提携し、共同で事業化していくことになったという。

凸版印刷が開発した専用電極を用いたエクセルギー電池(写真:エクセルギー・パワー・システムズ)

凸版印刷が開発した専用電極を用いたエクセルギー電池(写真:エクセルギー・パワー・システムズ)

エクセルギー電池は、電池内部で発生した熱を急速に放熱し、温度上昇を5度以内に抑える独自構造を持つ。これにより、一般的な2次電池と比べて、約100倍の200C以上の急速充放電が可能だという(Cは充放電レートで、1Cは60分で満充放電できる電流値を指す。同電池は60分/200C、すなわち18秒で完全な充放電が可能であることを示す)。

また、電池内部に水素を封入し、酸化による電極の劣化を抑えて、耐久性も向上させた。例えば、連続50C充放電のサイクル寿命は、一般的な2次電池の10倍となる15万回以上を実現したとする。

さらに、電池の起電圧を充電電圧で設定できるため、制御装置がない状態でも過充電することがない。電池に負荷がかからない「フローティング充電」が可能なため、バックアップなどの無停電電源装置として応用できる。なお、構成材料にリチウムや有機溶剤を使用しないので、2次電池の安全性試験における「くぎ刺し試験」も不要となる。

凸版印刷は、材料設計のノウハウやコーティング技術により、エクセルギー電池向けの電極を独自に開発した。印刷技術を応用したもので、電極材料である独自開発の導電性インキでニッケル系基材をコーティングし、正極、負極、セパレーターを積層することで電池セルを形成している。

凸版印刷とエクセルギーは、18年4月からエクセルギー電池のサンプル出荷を開始し、20年から量産する予定。25年には、約100億円の売り上げを目指すとしている。

(ライター 森元美稀)

[日経 xTECH 2018年3月15日掲載]

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