2018年4月25日(水)

民泊、静かな船出 届け出初日は貸し手8件止まり

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2018/3/16 1:31
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 一般住宅に旅行者らを有料で泊める「民泊」を条件付きで全国解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)に関する登録・届け出が15日、始まった。6月15日の施行まで3カ月あるとはいえ、初日は仲介業者で6件、貸し手によるネット申請は8件だった。民泊は訪日観光客を呼び込む原動力と期待される一方、自治体は独自規制を強めている。今後の盛衰は世界に比べて普及が遅れるシェアリングエコノミー全体の先行きをも左右しそうだ。

京町家などを生かした民泊が窓口に届け出された(15日、京都市中京区)

京町家などを生かした民泊が窓口に届け出された(15日、京都市中京区)

 「日本の健全な観光業を推進する大きな第一歩だ」。民泊仲介の世界最大手、米エアビーアンドビーの公共政策責任者であるクリストファー・レヘイン氏は同日、観光庁に登録書類を提出した。田村明比古・観光庁長官は「健全な民泊だけを普及させるために協力してほしい」と応じた。

 受付は15日だけではなく、施行日から始めるためには施行までに登録・届け出すればよい。米ホームアウェイや中国大手の途家(トゥージア)は近く登録する予定だ。

 部屋の貸し手もネットや自治体の窓口で民泊物件を届け出られるようになった。観光庁のまとめによると、15日夕時点で貸し手がネットを通じて届け出た物件は8件。ネットでの届け出以外に自治体の窓口でも届け出ることができるが、同時点で観光庁は件数を把握できていない。

 多くの観光客が訪れる京都市では届け出ゼロだったが、問い合わせは74件に上り、関心の高さをうかがわせた。「条例に関する基本的な質問が中心」(同市医療衛生推進室)だったという。

 現在、民泊を合法的に営むためには旅館業法の許可か国家戦略特区の認定が必要だ。だが、許可を得ていない物件が多く存在する。民泊法は届け出制で旅館業法などに比べてハードルが低い。年間180日の営業日数の範囲内で、貸し手が民泊を始めやすくなる。

 もっとも自治体の規制強化が普及を阻む懸念もある。全国で3割超の自治体が民泊法に上乗せする独自規制を設ける方針。新宿区は2017年12月、営業できる日を金土日に限定する条例を成立させた。

 日本経済新聞が貸し手約100人にアンケート調査したところ、自治体の上乗せ条例について62.7%が「民泊法が骨抜きになる」と指摘する。「特に許可をとっていない」のは72.5%で、このうち27.5%が「民泊自体をやめる」と答えた。エアビーは国内で約6万2千件を掲載するが、一時的に物件が大幅に減る可能性がある。

 みずほ総合研究所は20年の全国のホテル客室は不足しないとの調査をまとめている。だが経済調査部の主任エコノミスト、宮嶋貴之氏は「仮に民泊物件が減ると不足に転じる可能性もある」と懸念する。民泊は訪日客の受け入れ体制にも影響を及ぼす。

 日本のシェアリングエコノミーは規制が壁になり、世界より出遅れている。自家用車に客を乗せるライドシェア(相乗り)は「白タク」として原則禁止される。海外でライドシェアを手がける米ウーバーテクノロジーズや中国の滴滴出行は日本ではタクシー配車に特化する方針だ。

 矢野経済研究所は国内シェアリングエコノミーの市場が21年度に1000億円超と16年度の2倍に成長すると推計する。一方、PwCの調査では世界で13年に150億ドル(約1兆6000億円)で、25年には3350億ドルと20倍超に増える見通し。代表格の民泊も規制が普及を妨げれば、シェアリングエコノミーの世界的な潮流からさらに後れをとりかねない。

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