2018年7月21日(土)

南紀白浜テレワーク天国 IoTの黒子が情報守る

コラム(ビジネス)
スタートアップ
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2018/3/19 6:30
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 バカンスを楽しみながら仕事にも精を出す「ワーケーション」(ワーク×バケーション)。ポストクラウド時代の究極のテレワークが海外のIT(情報技術)企業を中心に広がっている。日本で町ぐるみで名乗りを上げたのが南紀白浜。町全体をサテライトオフィスと見なし、堅固な情報セキュリティーで守る。黒子として支えるのが、スタートアップ企業のウフル(東京・港)だ。

■ワーケーション、街ぐるみで

 和歌山県白浜町。小高い丘の上に立つ「ITオフィス」の窓からは、青い海が眼下に広がる。入居するのは、米セールスフォース・ドットコムやNECソリューションイノベータなどのIT企業。ワーケーションを広げる目的で各社から派遣されてきた社員たちだ。

 NECソリューションの阪口信吾氏もその一人で、白浜に転居して1年余り。同社からたった一人で送られたが「仕事をする上でここに居るデメリットは全く感じない」。オフィスでは会社の専用イントラネットにアクセスでき、ウェブ会議システムも利用できる。

 夏になれば白い砂と青い海のビーチに海水浴客が押し寄せる白浜町。阪口氏もカヌーを始め、休日は海に出る。ITオフィスでも友人の輪が広がる。「各社のマネジャークラスの人たちと友達付き合いができます。会社対会社の関係じゃないところが良いですね」。大阪本社に籍を置きながら平日は東京出張が続いた1年ほど前までとは、生活が様変わりした。

 阪口氏のような「滞在型」だけではない。ウフルの栗原洋介氏は自宅がある奈良県から、平日は大阪や東京のオフィスに通勤する。白浜町にも月に1度ほどのペースで通う。「通勤のストレスは無駄でしかない」と言うウフルの園田崇社長は社員の多様な働き方としてワーケーションという選択肢も取り入れた。

 ITを活用して時間や場所にとらわれず柔軟に働くテレワークは、国も働き方改革の目玉の一つとして推奨する。しかし、総務省の2017年調査では導入企業は約2割にとどまり、4割超の企業が「情報セキュリティーの確保」を課題に挙げる。その課題に町ぐるみで取り組むのが、白浜町と入居企業だ。

 阪口氏や栗原氏が安心して仕事に取り組めるのには理由がある。ITオフィスに設置されているのが耐災害型の地域分散ネットワークの「ナーブネット」だ。基地局が自動的に相互接続してデータを共有する。地震でどこかの鉄塔が壊れても直ちに別のルートで通信を確保する。

 白浜町が災害時の通信対策として張り巡らせたネットワークだが、IT企業にとってメリットが大きいのが、外部のインターネットとつながるのが「ビッグU」と呼ばれる1カ所だけという点だ。外部との出入り口が一つしかないためセキュリティーを確立しやすい。その「門番」を務めるのが、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」開発のウフルだ。

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