2018年11月15日(木)

ブロックチェーンが通貨以外で当面普及しない理由
VentureBeat

コラム(テクノロジー)
科学&新技術
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2018/3/18 6:30
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IT(情報技術)業界は値動きの激しい仮想通貨に対しては弱気になりつつあるが、その基盤となる技術への熱狂ぶりは依然すさまじい。今や「ブロックチェーン(分散型台帳技術)」は全く関係なさそうなスタートアップの宣伝にも驚くほど頻繁に登場している。この技術は本当に面白く、強力な用途があるかもしれないが、消費者向けに使うには大きな欠陥があることは、メディアではほとんど報じられていない。

筆者はユーザーが創造・構築し、仮想の商品を他のユーザーに販売する多人数参加型オンライン(MMO)ゲーム「セカンドライフ」に似た仮想世界の開発を手掛けている。筆者にとってブロックチェーンとは、仲介者を挟まなくてもユーザー同士での少額決済を可能にしてくれる「聖杯(究極の目標)」だ。だがこれは当分実現しないだろう。その理由は以下の通りだ。

(C)MP kullimratchai/Shutterstock

(C)MP kullimratchai/Shutterstock

■全ての目標を同時にかなえられるわけではない

ブロックチェーンは現状では「速い、安い、分散型」という3つの相反する目標の板挟みになっている。1つのチェーンで3つ全てを達成するのはまだ不可能だ。履歴の保管には莫大なメモリーと回線容量が必要で、無駄な検索を打ち切る「枝刈り」をしてもどんどん増えていくため、速くて分散化されたチェーンのコストは高くなる。速さと安さを目指すなら、銀行のような機関を導入しなくてはならない(IoT向けの技術「タングル」が解決策として提案されているが、まだ完全には理解されていない)。

優れたクレジットカード処理会社は、件数が大量なら2ドルの取引を0.10ドルほどの手数料で決済できる。最大級のオンラインゲームは、1日100万件を超えるユーザー間決済を即座に手数料なしで管理する。それでも、遅くて高いブロックチェーンをまさにこうした問題に投入しようとしているスタートアップを筆者は5~6社挙げることができる。

■カスタマーサポートはまるで悪夢

大半の消費者にとって、オンラインサービスのパスワード紛失は最近では珍しくもないちょっとした面倒にすぎない。電子メールでのリセットを要請するか、カスタマーサービスと話せばすぐに解決してもらえるからだ。

これに対し、ブロックチェーンのウォレット(電子財布)とそのパスワードはユーザーのハードディスクのファイルにひも付けられており、ブロックチェーンにアクセスしようとするユーザーにとっては絶対に重要だ。その性質上、これを復元する仕組みは一切ないからだ。「パスワードを紛失すれば、全てを失う」というのは消費者にとってはひどい仕組みで、ブロックチェーンでサービスを構築しようとしている企業にとっては悪夢といえる。交換業者によるサービスを利用していればハッカーの主な標的であり、資産の追跡能力も限られるため、盗難や資産を突然失うリスクがある。

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