2018年11月21日(水)

中東「内戦ドミノ」阻止めざす 欧州、レバノン政府軍強化
支援国会合を開催

2018/3/15 20:30
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【ローマ=飛田雅則】欧州は緊迫が続くレバノンへの支援を打ち出し、危機拡大の阻止に動く。関係国らは15日、イタリアでレバノンの治安対策に関する会合を開催。4月にも経済開発などの会議を予定する。レバノンでは、中東の大国サウジアラビアとイランの対立を映した「代理戦争」に発展する懸念が広がる。シリアやイエメンからの内戦波及を食い止められるかが、中東の秩序維持に向けてカギとなる。

15日に開いたローマの会合には欧州や日本や中国など約40の国、地域、国際機関が参加。各国から支援を募り、レバノン政府軍の能力や装備の増強を協議した。会議の冒頭でレバノンのハリリ首相は「レバノンの治安改善が地域の安定につながる」と語った。フランスは対戦車ミサイルや軍事訓練など1400万ユーロ(約18億円)相当の支援を既に表明している。

レバノンでは、イラン傘下のイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」が強い影響力を有し、「国家内の国家」とも呼ばれる。独自の軍事部門を持ち、練度や装備は政府軍を上回る。ヒズボラの軍事部門を中心にテロ組織と認定する欧米は、レバノン政府軍の増強により、ヒズボラ抑え込みを図る。

4月上旬にパリで開く会議では、レバノンへの投資や経済開発を協議する。さらにブリュッセルで同月下旬、隣国シリア内戦の発生により受け入れた100万人の難民を巡る問題も話し合う。

レバノンを巡る緊張は、2017年11月にハリリ首相が訪問先のサウジで唐突に辞任を表明したことがきっかけとなった。ハリリ氏がイランやヒズボラに融和的な姿勢を示したため、同氏を支えてきたサウジが辞任を強制したとされる。

その後、ハリリ氏はアウン大統領らレバノン国内の説得を受けて辞意を撤回。イランはサウジの動きに猛反発し、両国のにらみ合いが続く。レバノンは5月に選挙を控えており、政情が不安定になる可能性もある。

中東ではシーア派のイランとスンニ派のサウジの対立が深刻化。イエメンやシリアの内戦は双方の代理戦争という様相を強めており、今後は対立がレバノンまで飛び火するとの懸念が浮かぶ。

レバノンはイスラム教スンニ派とシーア派、キリスト教などの人々がモザイク状に暮らし、ガラス細工のような宗派間のバランスで安定を保っている。ひとたび動揺が走れば、外部勢力の介入を招き混乱が広がる可能性が高い。過去には15年間も激しい内戦が続いた。

欧州は一連の支援会合を通じて、国際社会の関与を強め、サウジとイランによる代理戦争という展開を回避したい考え。

シリアにおける過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いによる混乱で、レバノンは多数の難民を受け入れた。レバノンの混迷が深まれば、新たな難民が欧州や他の中東諸国に流れ込んだり、過激派が難民に紛れ込んでテロの温床となったりする事態も想定される。

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