2018年6月18日(月)

関電大飯3号機再稼働 中間貯蔵地や避難に課題 地元は雇用期待

2018/3/15 2:00
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 関西電力の大飯原子力発電所3号機(福井県おおい町)が14日、4年6カ月ぶりに再稼働した。関電では高浜3、4号機(同高浜町)が運転中で県内で立地の異なる原発の同時運転は6年3カ月ぶり。福井県の経済界からは雇用効果を期待する声が上がるが、今後は使用済み核燃料の搬出先選定に加え、実効性のある避難訓練の実施が課題になる。

 14日午後5時、原子力規制庁や福井県庁職員などの立ち会いの下、大飯3号機の原子炉が起動した。徐々に出力を高め、16日夕方にも発電を開始し、4月上旬の営業運転再開を予定する。

 福井県の西川一誠知事は14日、「最大限の注意を払い安全な運転に努め、原子力に対する県民・国民の信頼を得ていかなければならない」とコメントした。

 福井県経済団体連合会の川田達男会長は「電力コストの上昇は企業経営を圧迫し、国民生活にも大きな影響を与えている。計画に遅れが出たものの福井県経済界として歓迎する」と述べた。

 おおい町では約13カ月に1回、稼働中の原発の定期検査が実施され、1つの原子炉につき2千~3千人が訪れる。同町商工会によると加盟する275事業者のうち、建設関係で50社が大飯原発に携わる。飲食や宿泊も含めると「半分以上はなんらかの形で恩恵を受けている」と話す。

 一方、同町の建設業者は「3号機が再稼働してよかった」としつつ「1、2号機の廃炉が決まり手放しでは喜べない。リプレース(新増設)という話もあるが、先行きは不透明だ」と複雑な心中を語った。

 大きなトラブルがなければ5月中旬には大飯4号機も再稼働する見通し。原子力規制委員会が新規制基準を策定して以降、福井県で再稼働する原発は4基になり、全国最多の稼働原発を抱えることになる。

 今後の課題は2つある。一つは使用済み核燃料の行き場だ。関電は当面の搬出先として、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場とする計画をたてている。ただ、トラブルが相次いで工場の完成時期は数度延期され、21年度上期の計画達成にも不透明感が残る。

 関電は将来の中間貯蔵施設について18年中に福井県外の候補地を示し、20年ごろに決定、30年ごろの稼働を目指すとしている。同社によると原発の燃料プールへの貯蔵は大飯が約10年、高浜が6~7年だ。現状は東京電力ホールディングスと日本原子力発電が持つ青森県むつ市の施設が有力視されているが、調整は難航が予想される。

 もう一つの課題は広域避難訓練だ。内閣府は17年10月に大飯原発の広域避難計画を策定し、おおい町から大阪や兵庫への避難経路や受け入れ施設を定めた。

 ただ訓練時期は未定のままだ。16年8月に実施した高浜原発の避難訓練時のようにシナリオありきとした訓練の実効性には不安が残る。例えば避難が必要な原発から半径30キロ圏内には約18万人が生活しているが、自家用車での避難は約30台にとどまり渋滞の検証ができなかった。

 東京女子大学の広瀬弘忠名誉教授(災害・リスク心理学)は「訓練でも当日までごく一部の担当者以外に内容を知らせないといった具合に、現実に即した体制で臨むべきだ」と指摘。あえて混乱した状況下で課題を浮き彫りにする必要があるとした。高浜と大飯での同時発災を想定した訓練も必要だという。

 ▼大飯原発3、4号機 定格出力が各118万キロワットと関西電力で最大の原子力発電所。新規制基準が策定される前の2012年に夏場の電力供給を目的とし、当時の民主党政権が定めた暫定基準に基づき一時的に再稼働した。神戸製鋼所などの検査データに不正があった部品を使用した可能性があったが、品質確認や取り換えで対応している。東京電力福島原発1号機とは発電の構造が異なる。

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