2019年5月22日(水)

埼玉の伝統雛人形 大学生の知恵で復活

2018/3/14 22:30
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岩槻人形協同組合(さいたま市)は、文京学院大学(東京・文京)の学生と連携し、江戸時代に作られた「裃雛(かみしもびな)」を現代風にアレンジした新商品を6月に発売する。日本有数の人形産地である岩槻区だが、ひな人形と五月人形の販売が中心。若者の発想を生かした「ゆるかわいさ」が特徴の人形を通年で販売し、産地の発展につなげる。

頭部を丸く大きくしてかわいらしさを出した

頭部を丸く大きくしてかわいらしさを出した

裃雛は1800年代に岩槻人形師、橋本重兵衛が考案。裃を着るような立派な男性と結婚できるようにとの願いが込められている。岩槻人形の基礎になったとされ、江戸末期から大正にかけて流行。現在は生産者がおらず流通していない。

同組合と文京学院大は2016年3月、産学連携推進協定を締結。16年度に裃雛を現代に復活させるプロジェクトに取り組み、頭が大きく、居眠り姿の新裃雛の試作モデルを制作した。

発売する新裃雛は5種類。16年度のオリジナル版に加え、大切な人に願いを込める「健康」「勉強」「就職」「良縁」の4テーマを設け、それぞれ髪形、衣装、小道具を変えた人形を開発した。就職雛は七三分けの髪形にスーツのような裃で、ビジネスバッグを持たせた。価格は全て1万1800円(税別)。

職人の技術と学生の発想を生かして開発した

職人の技術と学生の発想を生かして開発した

17年度の取り組みには文京学院大経営学部2年の木滑知佳さん、稲垣茉菜さん、新井真菜美さん、佐久間伶奈さんが参加し、17年6月から職人との打ち合わせを重ねた。どんなものが売れているかをフィールドワークで調べ、デザインや小道具、生地などの検討を進め、商品化をめざした。

伝統的な技法、材料では価格が3万~5万円となるため、価格を抑え、外国人でも扱いやすいよう材料を工夫した。桐(きり)の粉を使った「桐塑頭(とうそがしら)」ではなく、石こうで頭を作る一方、上塗りは貝殻を使った胡粉(ごふん)で職人が丁寧に仕上げるなど、手軽さと伝統技術の両立を図った。

5日の発表会で、木滑さんは「職人さんから『本来の腕の曲げ方ではない』などと言われることもあったが、私たちの思いを受け止めて作ってくれた」と話した。

少子化や節句離れが進むなか、岩槻の人形も従業者数や生産額が減少傾向にある。同組合の組合員は現在65軒だが、さいたま市によると、昭和30~50年代には当時の組合、協会名簿に200軒を超える記載があった。

市は岩槻人形博物館の建設を進めており、20年2月に開館予定。同組合は手ごろな価格で、年間を通して販売できる商品を開発し、販売店や工房の経営安定をめざす。

新裃雛はその第1弾で、同組合の新井久夫理事長は「人形業界ではできない発想。街づくりの1つの資源として広めていきたい」と期待する。同組合は発売に向け、4月5日まで新裃雛の商品名を募っている。

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