2018年6月19日(火)

森友文書書き換え問題、どう見る? 財務OBに聞いた

2018/3/14 18:15
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 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書が書き換えられた問題は、公文書の信頼性を大きく揺るがした。14文書の約300カ所が意図的に改変された背景には何があったのか。財務省のOBからは指揮命令系統の中に潜む問題点を指摘する声が多く上がっている。

12日に財務省が公表した、森友学園への国有地売却を巡る決裁文書書き換え問題の報告書

参院予算委理事会で財務省が提出した、森友学園関連の決裁文書の原本の写し(8日)=共同

 「上司から『書き換えろ』と言われたら従わざるを得ない」。近畿財務局に10年以上勤めた元職員の男性は、書き換えに関わった職員の心情を推し量る。財務局内で決裁文書は役職のない担当職員が起案し何人もの上役が内容を精査して仕上げる。重要な案件では、作成段階で本省の承認を得るケースもあるという。

 男性は近畿財務局の職員を「厳しい上下関係が染みついており、上層部の命令には極めて従順な体質」と評する。

 書き換え前の文書には複数の政治家秘書からの問い合わせや安倍昭恵・首相夫人に関する詳細な経緯の記述があった。男性は「本省とやりとりする中で詳しい経緯を書くこともある」と指摘。「スムーズに決裁を進めるためには記述が必要だったのだろう」とみる。

 「開示されれば国会で追及される材料になり、省内の業務が増える。そうした事態を避けるという“省益”のためではないか」と削除された理由を推測。「でも通常ではあり得ない。書き換えの指示は本省の上層部から出たはずだ」と話した。

 地方財務局の立場の弱さが遠因とみる意見もある。北陸財務局理財部の元男性職員(55)は「職員は地方単位のブロック採用で地元業者との交渉を担うことも多く、本省のキャリア職員や政治家との板挟みになりやすい」。在職当時、地元の有力政治家の秘書から便宜を求められた経験がある。「それでも規則を超えた対応は一切できないのが公務員。よほどのことがあったとしか思えない」とおもんぱかった。

 書き換えは佐川宣寿・前国税庁長官の国会答弁に沿うよう行われたとみられている。「指示があったとしても『書き換えろ』ではなく『整合性を取れ』という言い方だろう」と話した。

 「数字のミスや事実関係の訂正などを除き、決裁文書を書き換えることは通常ない」。1997年に旧大蔵省に入省後、大臣官房文書課などに勤めた法政大の小黒一正教授は驚く。「決裁後の文書を書き換えれば刑法上の罪に問われる可能性もある。行政官が『忖度(そんたく)』で対応できる水準を超えている」という。その上で「公文書管理を外部からチェックできる政治的に独立した組織を創設する試みが必要だ」と訴えた。

 一方、日本大の岩井奉信教授(政治学)は今回の問題を「官僚が政治家に過剰反応した結果」とみる。「2014年に内閣人事局が設置され、各省庁の幹部人事を内閣が管理するようになったことも、官僚が政治家の意向を重視する流れに拍車をかけた。政治家との距離の取り方をつかめないまま、その場を乗り切ることを優先してしまったのではないか」と分析している。

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