2018年6月21日(木)

独メルケル政権、再始動 「強い欧州」へ仏と連携

2018/3/14 18:00 (2018/3/14 21:47更新)
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 【ベルリン=石川潤】ドイツ連邦議会(下院)は14日、メルケル首相の再任を決めた。大量の離反者が出たため、過半数をわずかに上回るぎりぎりの得票での選出となり、メルケル氏の求心力低下を改めて印象づけた。4期目のメルケル氏の最大の課題は欧州連合(EU)の統合強化で、マクロン仏大統領と二人三脚で取り組む方針だ。米トランプ政権が自国第一主義を強めるなか、情勢は厳しさを増している。

 第4次メルケル政権は、首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第2党のドイツ社会民主党(SPD)の大連立政権。2017年9月の連邦議会選挙から半年近く続いた政治空白がようやく幕を下ろした。

 メルケル氏が獲得した票数は364票で、首相再任に必要な過半数(355票)をかろうじて上回った。CDU・CSUとSPDは399議席を持つが、大量の離反票が出た。大連立への反発は根強く、新政権の前途は多難といえる。

 「欧州の新たな出発」。メルケル首相は新政権の役割をこう表現する。欧州では難民問題や格差の拡大で既存政党への批判が高まり、EUや統一通貨ユーロへの懐疑的な見方も広がる。欧州の立て直しのために「ドイツは役割を果たす」(同氏)というメッセージだ。

 金融危機に備えて欧州版の国際通貨基金(IMF)の創設を検討するほか、欧州の成長力を高めるために域内でのインフラ投資を積極的に進める。ユーロ圏の共通予算や共通財務相を唱えるマクロン氏とはまだ距離があるが、改革が必要という点では一致する。

 メルケル氏は最初の外遊先としてパリを選び、16日にマクロン氏と会談する。独仏で一致点を探り、6月までに改革の具体案を示したい考えだ。

 メルケル氏が欧州政策でとりわけ重視するのが、EUの国境管理の強化や若者の失業対策だ。EUは域内の移動の自由を認めたが、域外との境界線の管理が甘かったため、不法移民が多く流入した。若者の失業率はイタリアなどの南欧で高止まりしている。

 移民の増加と失業がポピュリズムを勢いづかせ、欧州を不安定にしてきたとメルケル氏はみている。ドイツでも極右政党が野党第1党になるなど状況は切迫。問題解決に取り組む姿勢を示すことが不可欠との判断だ。

 欧州を取り巻く情勢は厳しい。米トランプ政権は鉄鋼などの輸入制限を掲げ、報復措置も辞さない構えのEUとの対立が抜き差しならなくなっている。欧州にとって米国は安全保障などでかけがえのないパートナーだが、安心して頼れる相手ではなくなりつつある。

 米欧のきしみにつけ込むように、ロシアのプーチン大統領は東欧や中近東で影響力を高めつつある。同じように東欧に手を伸ばし、企業買収などを通じてEUに揺さぶりをかける中国とどう向き合うかも重い課題だ。

 英国のEU離脱後、こうした難局を乗り切れる「強い欧州」をどう作り上げていくのか。19年には欧州委員長や欧州中央銀行(ECB)総裁などの主要ポストの人事も決まる。多国間協調主義や自由主義のとりでをデザインするという重い役割を、メルケル氏が引き続き担うことになる。

 メルケル氏の首相就任は05年で、主要7カ国(G7)の首脳で在任期間が最も長い。次の議会選挙がある21年まで首相を務めれば、在任期間は16年となり、ドイツ統一を果たしたコール元首相に並んで戦後最長となる。

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