2018年12月10日(月)

米外交、混乱に拍車も 歯止め役ティラーソン氏失う

2018/3/14 2:03
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=川合智之】超大国・米国の政権の屋台骨を支える国務長官が突如、解任された。トランプ米大統領は13日、これまで何度も対立が表面化してきたティラーソン氏を国務長官の座から退かせ、後任に保守強硬派として知られるポンペオ中央情報局(CIA)長官を指名した。トランプ氏が独善的ともいえる外交姿勢に一段と傾き、世界の混乱に拍車がかかる恐れがある。

最近ではコーン国家経済会議(NEC)委員長も辞任を表明し、主要幹部が相次いでトランプ政権を去っている。外交政策でトランプ氏との衝突が目立ったティラーソン氏は、更迭論がたびたび取り沙汰されてきた。

対北朝鮮外交でも両者の溝は明らかだった。トランプ氏が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会談すると表明する直前、ティラーソン氏は「交渉するには、まだほど遠い」と語っていた。実際に首脳会談に臨むにしても場所や時期、トップ同士でどんな課題をどこまで議論するのか、事前に水面下で詰めておくべきことは多い。

「米国第一」とだけ唱え、外交の常識を無視するトランプ氏をティラーソン氏は危ぶんでいた。イラン核合意や中東政策でも強硬な姿勢に傾くトランプ氏をティラーソン氏がいさめる構図が続き、政権として一貫した姿勢を持てなかった。

ティラーソン氏が2017年夏の安全保障関連の非公開会合の際にトランプ氏を「ばか」と呼んだことも表面化していた。米外交が重要な局面を迎える時期に司令塔が交代することになり、米国の指導力の一段の低下につながる懸念もある。

新たに国務長官に指名されたポンペオ氏は共和保守派の元下院議員で、イラン核合意を批判し、イスラム移民排斥を支持するなどトランプ氏に近い外交観を持つ。トランプ氏は安全保障担当閣僚としてポンペオ氏への信頼を深め、13日に新国務長官に指名すると「ポンペオ氏は思考回路が似ている」と言い放った。

米国の外交をつかさどる国務省の機能不全は深刻だ。シャノン国務次官(政治担当)やジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表が相次ぎ辞任。起用を内定していた駐韓大使人事も白紙になった。

米紙ワシントン・ポストによると、国務省幹部約150人のうち承認されたのは60人余りにとどまり、正恩氏との首脳会談に向けた実務的な準備には不安が残る。長官の突然の更迭で、国務省内の不満は膨らみそうだ。

更迭ドミノに歯止めはかかるのか。トランプ氏はロシアとの不透明な関係を巡る疑惑「ロシアゲート」への対応に関し、セッションズ司法長官への不満を公言している。ホワイトハウス内の規律徹底をめざすケリー大統領首席補佐官とトランプ氏の対立もくすぶる。政権の動揺がこれで収まるとは言い難い状況だ。

13日発表の米CBSニュースの世論調査では、トランプ氏の北朝鮮対応を支持するのは42%にとどまり、50%だった不支持が上回った。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報