「EVシフト」操る中国 NEV規制で迫る決断
NextCARに挑む 攻防・電動化(4)

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2018/3/16 6:30
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世界の自動車産業を電動化に動かしているのは、各国政府による環境規制だ。温暖化ガスの排出抑制に加え、都市部の大気汚染問題が後押ししており、なかでも自動車メーカーにとって重い課題になっているのが、世界最大市場である中国での政府規制だ。水準の厳しさに加え国内産業優遇の色もにじみ、外資系が挑むべき壁は高い。

「我々は中国市場で過ちを犯した。新エネルギー車(NEV)の重要性を過小評価していたことだ」。普段は強気な発言で知られるフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のセルジオ・マルキオーネ最高経営責任者(CEO)が6日、ジュネーブ国際自動車ショーで珍しく反省の弁を述べた。

念頭には2019年に導入される「NEV規制」がある。自動車メーカーは中国での生産・輸入量に応じて一定比率のNEVを製造販売しなければならない。

FCAは広州汽車との合弁で「フィアット」「ジープ」を展開する。17年の両ブランドの販売台数は約20万5千台と前年から4割伸ばした。ただ現在のラインアップには、NEVと認められる電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)はない。このままNEVがなければ世界最大市場で不利になる。

▼中国の新エネルギー車(NEV)規制 中国で年間に3万台以上を生産・輸入する完成車メーカーが対象。中国での内燃機関車の生産や輸入量に応じて、NEVの生産実績で付与される「クレジット」を獲得しなければならない。目標は2019年に10%、20年には12%と引き上げられる。未達成の場合は他社からクレジットを購入する。18年から導入される予定だったが1年間延期された。
NEV対象は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)で日本勢が得意とするハイブリッド車(HV)は含まれない。

多目的スポーツ車(SUV)の代名詞とも言える「ジープ・ラングラー」も例外ではなく、FCAは20年にラングラーにPHVを追加する方針だ。

環境規制に追い立てられる自動車各社。「規制のスピードに電池開発のスピードが追いついていない」。17年12月、トヨタ自動車の豊田章男社長はパナソニックと車載用電池で協業を発表。技術の進歩と規制強化のずれに危機感を示した。

規制強化のなかでも既存の自動車メーカーへの影響が大きいのが中国だ。NEV規制では中国での生産・輸入量に応じ「クレジット」を獲得する必要がある。19年には全体の10%、20年には12%と引き上げられ、未達成なら他社から穴埋め分を買わねばならない。

例えば17年の中国生産が144万台と過去最高を記録したホンダ。三菱東京UFJ銀行の試算にによると、1台で得られるクレジットが多いEVのみで対応したとしても、20年に年5万台強の生産が必要とみられる。

求む「ナンバー」

ホンダはNEV対応のために18年、小型SUVをベースにしたEVを発売する。ただ日産自動車が10年に発売したEV「リーフ」すら販売台数は世界累計で30万台。「各社にとって楽なハードルではない」(三菱東京UFJ銀行の黒川徹調査役)。日本勢では日産は現地ブランドを含め18~19年にEV6車種を発売し、トヨタも20年に自社ブランドのEVを投入する。

ルールを巡る綱引きも始まっている。

「一番欲しいのはナンバープレートだ。とにかくナンバー規制の対象外にしてほしい」。日産の中国担当の関潤専務執行役員は、同社独自のハイブリッド技術「eパワー」をNEVと認められるように熱望する。

17年に中国で販売されたNEVに該当する乗用車は、16年比7割増の57万9千台と急増した。背景には政府が導入する「ナンバープレート規制」がある。交通渋滞が深刻な大都市部では通常のガソリン車などにはナンバープレートの発給を制限。抽選やオークションの当選率は1%に満たないがNEVならば一定期間を待てば制限なく発給される。

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