2018年4月24日(火)

信州大がスマート手術室 IoT活用、安全性向上狙う

北関東・信越
2018/3/14 1:00
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 信州大学は2018年度から手術の安全性向上や迅速化に向けて「スマート手術室」の運用を始める。手術用器材をネットワークでつなぎ、患者の状態や手術の進行状況を画面上で共有。外部にいるベテラン医師から施術のアドバイスを受けることもできる。産業分野を中心に始まったあらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術が信州では医療に広がってきた。

 13日、信州大学医学部付属病院(松本市)の包括先進医療棟の開院式典が開かれ、スマート手術室も公開した。7月に機器とシステムを整えて、臨床研究に備える。

 同室では磁気共鳴画像装置(MRI)、手術台や顕微鏡など約15の手術機器をネットで結ぶ。集約したデータは室内の大型液晶モニターで表示する。執刀医に付けた小型カメラからの映像や、患者の心拍数、腫瘍の取り残しがないか確認するMRIの情報を画面で一括して表示し、手術スタッフ間で状況を確認する。

 従来の手術では、執刀医が口頭で機器の専門スタッフに状況を確認し情報を共有していた。スマート手術室では画面を確認して映像で情報を共有するため手術時間の短縮が見込める。患者の体にかかる負担が軽くなることも想定される。

 主に脳腫瘍の一種の神経膠腫(こうしゅ)の切除手術での使用を想定する。神経膠腫は正常な脳との境界が不鮮明で、切除する位置の判断で高度な技術が求められる。そこで、手術中に切除した腫瘍の悪性度を約8分で診断する「フローサイトメトリー」を導入してネットワークにつなぎ、無駄な切除や取り残しを防ぐ。

 執刀する医師が手術室の外にいるベテランの医師にアドバイスを求めることも可能。映像などを見てもらい、手順などで指示を受ける。

 手術関連のデータは蓄積するため、手術の経緯などを検証でき治療の透明性を高めることができる。信州大の後藤哲哉講師は「データを蓄積して機械に学習させ、将来は腫瘍を切除した時のリスクなどを機器が判断できるようにしたい」と話す。

 手術室にIoTを用いるスマート手術室は14年に政府が開発プロジェクトを開始し、16年に東京女子医科大病院と広島大学病院で導入された。信州大も18年度に採用し、日立製作所日本光電などとも連携する。

 スマート手術室が入る包括先進医療棟は4月に稼働を開始する。現在の信州大病院の南東に隣接し地下1階、地上7階建てで総事業費は110億円。スマート手術室は3階にある。同医療棟にがんセンターや集中治療室、分娩のための産科などを集約する。

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