2018年12月17日(月)

成田空港、新たな「玄関口」へ 機能強化で合意

2018/3/14 0:00
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成田空港周辺の自治体が空港の機能強化に同意したことで、右肩上がりで増大している旅客需要の受け皿づくりが本格化する。新滑走路の整備や夜間飛行時間の延長を通じ、年間発着枠は現在の1.7倍に広がる見通し。ヒトやモノの流れがより活発になるのを見据え、今後は企業誘致や観光集客をはじめ地域経済への波及効果をいかに高めるかが課題となる。

成田空港の発着枠は2020年代に限界を迎える

国土交通省と成田国際空港会社(NAA)、千葉県、空港周辺の9市町は13日、機能強化に関する4者協議会を千葉市内で開き、夜間飛行制限の緩和などを進めることで合意した。

終了後の記者会見で、森田健作知事は「今回の合意は千葉県や国の発展に大いに寄与する」と9市町の対応を評価。成田市の小泉一成市長は「空港づくりは『地域づくり』。今回の合意をスタートとし、4者が連携して空港の機能強化と生活環境の保全、地域振興を一体的に進めていかなければならない」と述べた。

機能強化の柱は第3滑走路(3500メートル)の新設と夜間飛行時間の拡大だ。将来の第3滑走路の使用開始に合わせ、滑走路ごとに飛行制限時間をずらす「スライド運用」を導入する。第1~第3の各滑走路の飛行ルート下に暮らす住民に騒音のない時間を7時間ずつ保証しつつ、空港全体としては夜間の飛行時間を現在より2時間半延長できるしくみだ。

成田空港の現在の年間発着枠は30万回。2016年度の発着回数は24万5705回と前の年度に比べて1万回以上増えており、20年代には発着枠の限界に達するとみられている。国交省によると航空需要は中長期的に伸び続ける見通しで、30~40年代には発着回数が50万回に達するとの予測を示す。

今回の機能強化策を通じ「50万回」に対応できる体制はおおむね整う見通しだ。政府は訪日外国人観光客を30年に6000万人(17年=2869万人)まで増やす目標を掲げており、羽田空港を含めた首都圏の「空の玄関口」の受け入れ体制は一段と充実する。

NAAによると、発着回数が50万回に達した場合、成田の旅客数は現在の2倍近い7500万人に増加。貨物取扱量も300万トンと1.5倍に拡大する。空港で働く従業員数も4万人から7万人に増える見通しで、空港がもたらす経済効果は大きい。

一方、千葉県にとっては空港の機能強化をいかに地域経済の活性化につなげるかが課題となる。空港の機能強化に対し、周辺市町の住民からは騒音被害を心配する声に加えて、ヒトやモノが地元を素通りすることへの懸念も浮上。同じ空港周辺の市町でも「空港の恩恵を受けている自治体がある一方、わが町は振興しているとは言いがたい」(横芝光町の佐藤晴彦町長)と地域間格差への不満が根強い。

県は空港周辺9市町の新たな地域づくりの方向性を示す「基本プラン」を3月中にまとめる。空港周辺地域への企業誘致や雇用創出、観光客の受け入れ拡大を通じ、地域経済の活性化につなげるねらいだ。空港周辺では首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の大栄―松尾横芝間の工事も近く着工し、24年度には県内区間が全線開通する。空と陸の両面で拡大するヒトやモノの流れを地域経済にどう取り込むか。県内の自治体や企業は10~20年後を見据えた成長戦略が求められている。

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