2018年12月12日(水)

企業統治、さらに透明性促す 金融庁が指針改定案

2018/3/13 19:17
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金融庁は13日、企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の改定案を公表した。取締役会の実効性や客観性を高める。外部の声を採り入れやすくして経営の透明性を高め、世界の投資家が日本企業に投資しやすい環境を整える。

企業統治指針は金融庁と東京証券取引所が2015年に導入した。指針に強制力は無いが、従わない場合は理由を明示する必要がある。日本企業の国際競争力を高めるため、3年ぶりに見直す。

改定指針は4月上旬までに決定し、5月に改定する。上場企業には6月の株主総会シーズンから適用するように求める。

改定指針で目立つのは、取締役会の役割をもっと外部にわかりやすくするよう働きかけた点だ。例えば経営トップの選び方。取締役会は最高経営責任者(CEO)の後継者計画に主体的に関与し、きちんと後継者を育てられるよう適切に監督すべきだと明記した。選任、解任の手続きも客観性や透明性を持たせるように事実上、義務付ける。

社外取締役の活用も一段と増やすよう求める。今は「少なくとも2人以上」だが、改定指針では「3分の1以上が必要なら十分な人数を選ぶべきだ」と踏み込んだ。女性や外国人の役員登用を促すため「ジェンダーや国際性の面を含む」多様性と適正規模を両立することも盛り込んだ。

日本は米国に比べ、企業統治への取り組みがまだ足りない。東証によると、17年時点で2人以上の社外取締役を導入した1部上場企業は88%に上る。しかし取締役会における割合は30%未満と、米国の80%超を大きく下回る。さらに社外取締役のうち、経営の経験を持つ人材は米国の70%に対して日本は50%程度。金融庁の専門家会議では「形式だけでなく、今後は質も問われる」との指摘が相次いだ。

米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)、英リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメントなど多くの海外投資家は日本企業に対し、社外取締役の人数を全体の3分の1以上にするよう要請している。

多様性に富む取締役会は異なる視点を経営に反映でき、偏った思考に組織が陥るのを防ぐ。企業にとっては人材確保が新たな課題になる。

金融庁の専門家会議のメンバーである、経営共創基盤の冨山和彦CEOは「このままでは経済界の地盤沈下は止まらない」と指針の重要性を訴える。指針を通じて企業と投資家の対話を深め、個々の企業に合った統治の方向性を探る。実効性をいかに担保できるかが問われる。

投資家である三井住友アセットマネジメントの斉藤太スチュワードシップ推進室長は政策保有株を「縮減」と明記した点に注目、「原則として保有すべきでないと示したのはかなり踏み込んだ印象。株の持ち合いが解消され、海外企業に比べて低い日本企業の資本効率改善が期待できる」と話す。

取締役会の多様性確保は「歓迎すべき内容だが、投資家は企業価値向上に貢献してくれる人の選任を求めている。形式主義に陥るのでは意味がない」という。

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