2018年12月14日(金)

国内CVCの3割「運用順調ではない」 PwC調査

2018/3/13 16:08
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国内事業会社がスタートアップへの投資を目的に設立したコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)の約3割が「自社のファンドの運用が順調ではない」と感じていることがコンサルティング会社のPwCアドバイザリー(東京・千代田)の調査で分かった。欧米では大企業によるスタートアップの買収も増えているが、積極的にスタートアップの買収を検討している国内CVCは全体の2割に満たず、海外との意識の差も浮き彫りになった。

調査はPwCアドバイザリーが2017年10月、国内のCVCファンドに関与する実務担当者や責任者を対象にオンラインで実施、57人から回答を得た。13日に結果を公表した。

「自社のCVCファンドの運用は順調だと思うか」と聞いたところ、「あまり順調ではない」との回答が全体の26%、「全く順調ではない」が4%を占めた。CVCの運用期間が長くなるほど、順調ではないとの回答が増え、運用期間が3年以上の回答者(11人)の45%が「順調ではない」と答えた。

CVCの運用で感じている課題については、「適正な投資条件で出資できているか、自信がない」が37%と最も多くを占めた。「なかなか良い投資先を見つけることができない」が28%で続いたほか、「投資担当者の熱意に押し切られ、ほぼ全案件が投資委員会を通過してしまう」との回答も26%にのぼり、案件選別に甘さが見られるという。またCVCの成果について、運用期間が3年以上の担当者の27%が「事業シナジーを思ったほど実現できていない」と答えた。

一方、投資先の追加出資に関するスタンスについて「順調に行きそうな会社は積極的に買収したい」との回答は19%にとどまった。「追加出資の可能性はあるが、買収までは想定していない」との回答が46%を占めた。専門部署が機動的な投資判断をしやすいCVCと比べて、買収になると金額が大きくなり、本社の経営判断を仰ぐ必要性もあることが影響しているとみられる。

日本企業のCVCは2000年前後のネットバブル期に主に電機メーカーが立ち上げた。しかし直後にIT(情報技術)バブルが崩壊したため、日本企業全体には広がらなかった。10年代に入り、大企業が社外の技術やアイデアを活用する「オープンイノベーション」の必要性が叫ばれ、通信会社や放送局、不動産や自動車、食品など幅広い業種に広がっている。今回のPwCアドバイザリーの調査では回答企業の58%が売上高1000億円未満の中堅企業が占めた。

調査を担当したPwCアドバイザリーの青木義則パートナーは「CVCはうまく使いこなせば有益なツールだが、使いこなすのは難しい」と話す。多くのCVCが事業シナジーと財務リターンの両方を求める傾向にあるが、「目的がふわっとしていると、ばらばらな理由でスタートアップに投資してしまい、投資先の一貫性がなくなる」と指摘する。

米グーグルなどの欧米企業はまずCVCファンドで少額出資をした後に、スタートアップを買収して新サービスを育てている。青木パートナーは「買収の実現には投資先スタートアップの経営者の信頼関係を構築し、協力することが欠かせない。経営陣がコミットし、10年ぐらいの中長期で取り組む姿勢が重要だ」と話している。

(企業報道部 鈴木健二朗)

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