2018年6月22日(金)

感動より笑い ダンス磨く バブリーダンスの振付師 akaneさん(もっと関西)
私のかんさい

コラム(地域)
2018/3/13 17:00
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 ■きつめのソバージュに派手な衣装をまとった女子高生たちが、切れ味鋭い踊りをコミカルに披露する――。振付師のakaneさん(25)は2017年、母校の大阪府立登美丘高校ダンス部コーチとして「バブリーダンス」を世に送り出し、日本中を沸かせてみせた。

 あかね 1992年大阪府岸和田市生まれ。日本女子体育大卒。2011年に母校の府立登美丘高校(堺市東区)ダンス部コーチに就いた。同部はハリウッド映画「グレイテスト・ショーマン」の日本のPR大使に選ばれ、主題歌のプロモーションビデオを制作している。

 あかね 1992年大阪府岸和田市生まれ。日本女子体育大卒。2011年に母校の府立登美丘高校(堺市東区)ダンス部コーチに就いた。同部はハリウッド映画「グレイテスト・ショーマン」の日本のPR大使に選ばれ、主題歌のプロモーションビデオを制作している。

 ダンスを本格的に始めたのは3歳。保育園で楽しそうに踊っているのを見た母が、大阪府岸和田市のジャズダンススクールに通わせたのがきっかけだった。保育園の先生に「踊りを習っているなら作ってみたら」と言われて振り付けを考えて以来、創作活動がライフワーク。習字やバスケットボールは続かなかったが、ダンスは一度もやめたいと思ったことがなかった。

 週末はテレビで吉本新喜劇を見ていた。お笑いが好きで、今でも時間があれば、劇場まで漫才を見に行くほど。ポーズを参考にすることもあるなど、エンターテインメント性の高い演出のアイデアを考える上で学ぶことは多い。

 中学、高校ではダンス同好会に入り、活動の範囲を広げようと、どちらも顧問に直訴して部に格上げしてもらった。大会で良い成績はあげられなかったが、厳しい練習を仲間と積む経験や充実感が今の指導にも生きていると思う。

 ■大学時代、恩師の依頼で登美丘高校のダンス部コーチに。15年と16年に「エアロビクス」「大阪のおばちゃん」を題材にした振り付けで全国制覇に導いた。「誰も作ったことがないものを作る」というモットーから生み出されるパフォーマンスは、関西の土地柄を色濃く映し出す。

「バブリーダンス」の映像は動画サイトで4900万回以上再生されている

「バブリーダンス」の映像は動画サイトで4900万回以上再生されている

 コーチに就いたのは大学1年のころ。より深くダンスを学ぼうと東京の大学に進学していたので、帰省の折に後輩たちを指導し、翌年からは振り付けもするようになった。

 演出を考える時、根底にあるのが「感動させるよりクスッと笑わせたい」という気持ち。コミカルさを振り付けに採り入れる理由には、世代を問わず楽しませたいという思いと、大会に勝ち抜くためという戦略がある。

 さらに「それええやん」と乗ってくれる周りの環境が後押ししてくれる。自分のやりたいようにやることが許される優しさが、誰も見たことがない演出を打ち出せる土台になっているのではないか。

 審査員として全国の若者のダンスを見る機会もあり、関西の生徒からは踊りにかける気持ちが一段と強く伝わってくる。一つのものをみんなで作り上げることへのこだわりの強さや負けず嫌いな気質が、パフォーマンスからにじみ出てくるのだろう。

 ■異彩を放つ感性は、岡本太郎の影響を大きく受けているという。巨匠が示し続けた個性を打ち出すことを恐れない姿勢に心を動かされた。「目立つのは良いこと」というメッセージの発信に熱意を注ぐ振付師の目線の先には、25年の大阪開催が期待されている国際博覧会(万博)がある。

 大学の卒業公演でテーマにしたのが岡本太郎さん。生きざまや作品を深く知ろうと、大阪府吹田市の万博記念公園や神奈川県の川崎市岡本太郎美術館に何度も通った。プラス思考で人の評価を気にせず、自分のやりたいことを表現する姿に感銘を受けた。

 しかし、近ごろは個性を出すことに苦手意識を持つ生徒が増えている。自分たち若い世代は、何でもインターネットで完結させてしまいがち。直接五感で感じる経験が少ないから、思いや考えを伝える手段を備えられないのではないか。ダンスは目立ったもん勝ち。目立つのは良いことだといかに伝えられるか。私自身も答えを探している。

 今の夢は大阪万博が実現した時、演出に関わること。太陽の塔というレガシーを残した岡本さんのように、大阪の人々が持つ情熱を世界に発信する一翼を担ってみたい。

(聞き手は 大阪社会部 小安司馬)

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