2018年9月24日(月)

街づくりで新事業 カンパニー連携
パナソニック100年 次の成長を描く(4)

2018/3/15 6:30
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 パナソニックの住宅分野は旧松下電工の流れをくむ。戸建・賃貸集合住宅建築の「パナホーム」を傘下に収め、旧三洋電機の太陽電池事業を引き継いだエコソリューションズ(ES)社は、生活周辺分野で安定して利益を稼いでいる。昨春、ES社長に就いた電工出身の北野亮氏は他のカンパニーと連携し、自動車や街のインフラ向けの開拓を目指す。

エコソリューションズ社の北野亮社長

エコソリューションズ社の北野亮社長

 ――次の100年に向けた最大の課題は。

 「ES社の売上高は約2兆円で国内比率が約85%だ。これまでの100年は日本の経済成長とともに事業を拡大できた。これからはそうはいかない。新規住宅着工件数は今後2年ほどは95万戸程度で推移するが、どこの調査会社も2030年に向けて60万戸に急減すると予測している。まずは20年まで海外比率を25%に高める。その後の10年でさらに50%くらいにしないとえらい目に遭うと思っている」

 ――どうやって海外事業を伸ばす考えですか。

 「事業としては空調、照明、コンセントなどの配線器具の3つを重点的に伸ばす。地域も中国、インド、中東、東南アジアに絞っている。各地域で開発、製造、販売を一元化して現地に任せる体制を整えたことで、売り上げと利益がともに上がる体質になった。21年くらいまで売上高は、各地域の国内総生産(GDP)成長率の2倍の水準、年率2ケタの成長は高い確率で実現できる」

 「この成長は代理店を通じて個人の顧客に売る販路を想定しているが、大規模案件も増やしたい。現地のデベロッパーや設計事務所などパートナーをはっきり定めて、国が絡むスタジアムや大規模施設の建設に合わせて製品を一括納入する」

別の社内カンパニーと連携し、スタジアム照明を拡販する(大阪府吹田市)

別の社内カンパニーと連携し、スタジアム照明を拡販する(大阪府吹田市)

 ――ES社というと、住宅事業のイメージが強いです。

 「津賀一宏社長には、『これからは、住宅=ES社としないでくれ』と言っている。配線器具など電設資材は、商業施設などで使われ、住宅以外が約8割を占める。これからは街づくりや自動車といった領域に広げていく。他の3カンパニーと幅広く接点を持ち、新事業を生み出してくことがミッションになる」

 「住宅市場を開拓するには家電を担うアプライアンス(AP)社、競技場で使う大型照明だったらコネクティッドソリューションズ(CNS)社のと組むことになる。まずは18年中にES社の事業部に横串を刺して商品を企画する組織を設け、他カンパニーとの連携も増やす。将来的に顧客の要望やビジネスモデルが変わるなら他のカンパニーと合併することもあると考えている」

 ――17年にパナホームを完全子会社化しましたが、具体的な成果は出ていません。

 「最大の目的は親子上場をなくし、幹部や社員の入れ替えを柔軟にすることだった。完全子会社化前から重複のあった営業拠点を整理したり、3の倍数月に住宅の引き渡しが集中するといった問題を解消したりしてきた。本格的な再成長に向けた戦略が動くのは18年からになる」

 「木造の戸建てや集合住宅の施工能力をどう上げるかが課題になる。17年度中に買収する松村組(東京・千代田)含め、パナホームの社長が施工部隊を一括して担当するように組織を変えた。単価が安く、工期が短い木造戸建てが新たに加われば、取りこぼしてきた30、40代の初めて住宅を購入する層を新たに取り込める」

 北野氏は2017年4月のES社社長の就任直後に、これまで「住宅」「非住宅」で分けていたES社の事業を照明など「部材」と自転車など「BtoC」に分類し直した。顧客が企業か消費者かで分け、事業の実態を明確にするのが目的だった。必要な人材や技術、目指す方向性もはっきりさせ、他の社内カンパニーとも連携しやすくした。

 北野氏はES社の母体である旧松下電工の出身だが、16年度はBtoB事業を主導する他のカンパニーで1年間副社長を務めた。「対企業ビジネスの考え方がわかった」と話しており、現在の事業づくりの基盤になっている。

 ES社の17年度の営業利益は前期比10%増の720億円を見込んでおり、新体制はひとまず順調に滑り出した。

 住宅設備や配線器具など急激に売り上げを伸ばしづらい事業が多い中、今後は新事業の早期の収益化が求められる。

 国内の社員数では旧電工出身者が4割強まで下がり、様々な背景を持つ人材が混ざり合う。新しい発想を生み出すための仕組み作りを急ぐ。

(おわり)

(大阪経済部 上田志晃)

[日経産業新聞2018年3月13日付]

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