約100年ぶりサクラ新種 紀伊半島南部で群生
紀伊半島南部に群生しているサクラが、国内の野生種として約100年ぶりの新種と判明したと、森林総合研究所(茨城県つくば市)が13日、明らかにした。

三重県熊野市、奈良県十津川村、和歌山県田辺市など、熊野川流域を中心に南北約90キロ、東西約60キロの範囲で確認された。鮮やかなピンク色の美しい花が特徴で、森林総研の勝木俊雄サクラ保全担当チーム長が熊野地方にちなみ「クマノザクラ」と命名した。

森林総研によると、ソメイヨシノのように人工交配などで生まれた栽培品種は多くあるが、国内に分布する野生種は9種しか確認されておらず、1915年のオオシマザクラ以来の新種という。
勝木さんは、変わったサクラがあると聞き、2016年春から和歌山県古座川町などで、県林業試験場と共同で本格調査。すると、開花時期が3月上~下旬と早く、葉が細長くて小さいといった固有の特徴を多く持つことが判明したため、既存種の突然変異などではなく新種と結論づけた。
住民は4月上旬に咲き始めるヤマザクラより早いため、「早咲きのヤマザクラ」などと認識していた。勝木さんは「人に身近な所で咲いていたのに新種と分からなかったのは驚き」と振り返る。
〔共同〕