2018年6月24日(日)

米大統領、クアルコム買収禁止命令 安保で中国意識

2018/3/13 9:38 (2018/3/13 10:58更新)
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 【オースティン=佐藤浩実、ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領は12日、シンガポールに本社を置く通信用半導体大手ブロードコムによる米クアルコムの買収を禁じる命令を出した。外国企業による米国企業への投資を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の勧告に従ったという。トランプ政権は鉄鋼やアルミニウムの輸入制限も決めており、安全保障を理由に経済活動に介入する姿勢が鮮明になってきた。

 トランプ大統領は命令文で「ブロードコムによるクアルコムの買収は、米国の安保を損なう可能性があると信じられる確かな証拠がある」とした。半導体大手のクアルコムは国防総省と取引があり、米国が中国などと競う次世代通信規格の「5G」でも規格の策定や半導体供給で中心的な役割を果たしている。

 ブロードコムは12日、「クアルコムの買収が安保上の懸念を引き起こすという点に強く異を唱える」との声明を出した。ただ、13兆円にのぼるIT(情報技術)産業最大の買収は、政治判断によって実現の可能性がほぼついえた。

 今回の買収では、大統領の命令に先立ちCFIUSが懸念を示していた。3月4日にはクアルコムが2日後に予定していた株主総会を1カ月延ばすよう要請。短期収益と株主資本主義を重視するブロードコムの経営姿勢がクアルコムを弱体化させるとした。

 中国の華為技術(ファーウェイ)の名前も挙げ、クアルコムの技術力低下が米国にとってのリスクになると強調していた。半導体業界のアナリストは「ブロードコムとファーウェイの企業としての近さも警戒された」と指摘する。

 トランプ政権は健全な経済活動は安保にも重要との方針を打ち出し、外国企業の対米投資や不公正な貿易慣行に厳しい姿勢で臨んでいる。議会も安保上の観点から外国企業による米国企業の買収審査を厳しくする法案の成立をめざしている。

 2016年にシンガポールのアバゴ・テクノロジーが米ブロードコムを買収し、アバゴは知名度のあるブロードコムに社名を変更した。12日には、5月を予定していたシンガポールから米国への本社移転を4月初めに前倒しすると表明するなど、総会の延期が決まって以降、米国に歩みよる姿勢を見せてきた。

 5Gや次世代通信技術の研究開発を維持することや、防衛などに関わる事業を売却しないことも約束している。

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