2018年9月25日(火)

「事故死の可能性」 大崎事件で高裁判断 再審開始
供述の心理学鑑定は証拠価値否定

2018/3/12 20:00
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 鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、再審開始を認めた12日の福岡高裁宮崎支部決定は「転落事故などで死亡した可能性がある」と指摘した。弁護団は「事件性を否定した画期的判断」と評価。一方、地裁で新証拠とされた供述の心理学鑑定は高裁では退けられ、再審の決め手とするにはハードルが高いことも浮き彫りになった。

大崎事件の再審が認められ、記者会見する原告側の森弁護団長(左から2人目)ら(12日、宮崎市)

 確定判決では懲役10年が確定し服役した原口アヤ子さん(90)らが被害者の首をタオルで絞めて窒息死させたと認定。共犯とされた親族らがこうした構図に沿った供述をした。

 この日の決定で根本渉裁判長は「転落事故などによる出血性ショック死の可能性が高い」との弁護側の法医学鑑定について「十分に信用性がある」と認定。「何者かが殺害したことを前提にできない」とした上で、改めて供述を精査し「信用性に重大な疑義が生じる」と結論付けた。

 記者会見した森雅美弁護団長は「そもそも事件性がなく、原口さんや共犯者の関与もないと言い切ってくれた」と評価した。弁護団は親族の再審請求も検討する。一方、福岡高検の金子達也刑事部長は「決定内容を十分に検討し、上級庁と相談の上、適切に対処したい」とした。

 弁護側は親族らの「自白」を心理学的に分析し「体験に基づかない可能性がある」とする鑑定結果も提出していた。昨年6月の鹿児島地裁決定はこうした鑑定手法を「供述の評価について、裁判員裁判の評議の共通ツールの一つとなりうる」と高く評価した。

 だが宮崎支部決定は「鑑定手法や評価方法が確立しているとは言い難い」と指摘。「相当限定的な意義があるにとどまる」とも述べ、証拠価値を全面的に否定した。

 心理学鑑定を担当した弁護士は「供述の評価手法としての価値を否定されたものではない」と話した。ただ心理学鑑定を供述の信用性を測る物差しにできるかの司法判断は統一されておらず、再審請求の「武器」とするにはなおハードルが高いことも明らかになった。

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