2018年12月15日(土)

「平凡」バフェット氏 限られる道

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2018/3/14 2:30
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The Economist

著名投資家のウォーレン・バフェット氏には、いつまでも変わらないところがある。とめどないジョーク、有名な年次書簡、世界一の投資家としての評判などだ。一方、それほど理解されていないのは、この10年でバフェット氏の投資会社バークシャー・ハザウェイが急激に戦略を変えたことだ。同氏の買収から最初の40年間は、バークシャーは主に株式に投資し、保険会社を経営していたが、2007年以降、大規模な事業会社を相次ぎ買収する戦略に転換したのだ。

ある意味では、バークシャーを批判するのは難しい。同社株は株式市場に後れを取ることなく、傑出した地位を誇っている。バークシャーは世界で7番目に価値の高い上場企業だ。だが、バフェット氏の巨大企業はナゾだ。最近の買収の成績はパッとせず、平凡な会社に変わる気配がうかがえる。

近年の買収ラッシュはかなり激しく、07年以降、158社に1060億ドル(約11兆円)を投じている。事業会社につぎ込まれた資本の割合は、3分の1から半分以上へ上昇した。最大規模の買収には、北米の鉄道会社バーリントン・ノーザン・サンタフェ(BNSF)や製造業のプレシジョン・キャストパーツ(PC)、さまざまな公益企業、化学大手のルーブリゾールが含まれる。

■過去10年のハイテクブームを逃す

こうした取引は今後も続く公算が大きい。バークシャーはざっと1千億ドルの余剰資金を抱えている。2月24日に公開された直近の株主への手紙では、バフェット氏は高いバリュエーション(価値評価)について不満を述べつつ「非常に大きな買収」の可能性があると語った。バークシャーは自社のことを、創業家や起業家が大事な会社を喜んで譲る友好的な買い手と見なしている。典型的な米国の英雄たちが経営する伝統的企業のホームになるという同社のミッションには、どこか心が温まるものがある。

だが、これは優れた業績を上げる明らかな手段ではない。バークシャーは買収プレミアムを払わねばならず、640億ドルの「のれん代」を抱えている。企業の買い手が言うようなシナジー効果は得られず(未上場企業に投資する)プライベート・エクイティ企業とは異なり、標的企業の経営陣を刷新することもない。バークシャーに所有されることが業績向上につながる明白な理由はない。バフェット氏は、株式市場の大きな原動力となっている過去10年間のハイテクブームをおおむね逃している。

バークシャーは水をワインに変えるような奇跡を起こせるのだろうか。本誌エコノミストは、一定の当て推量を用いながら数字を計算することで、この問いに答えを出そうとした。バークシャーの価値創造をとらえる方法は2つある。いずれもバフェット氏がかつて是認したもので、一つは、バークシャー自体の純資産価値とその増加ぶりを測ること。もう一つは、完全子会社の利益と、少数株を保有する企業からの利益分配から成る「ルックスルー」利益を検証することだ。

過去5年間で、純資産価値は複利年率にして11%増加した。バークシャーのルックスルー自己資本利益率(ROE)は通常、8~9%だった。これらの数字はすべて、法人税を引き下げる米国の法律に関連し、17年に計上した290億ドルの特別利益の影響は除いている。

■さえない業績の買収企業

こうした業績はバフェット氏の名声にふさわしいが、次のステップはバークシャーを2つの分野に分割し、大きな方を検証することだ。すなわち、鉄道、エネルギー、公益、製造業、サービス、小売部門にまたがる買収先の事業会社群だ。

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