2018年9月25日(火)

電池競争、新星は臆さない 中国CATLが台頭
NextCARに挑む 攻防・電動化(2)

コラム(ビジネス)
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2018/3/14 6:03
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 電気自動車(EV)であれハイブリッド車(HV)であれ、電動車に欠かせない中核部品が充電池だ。世界的にEVの普及がどれだけ早く進むのかは、結局のところ電池の性能と価格が鍵を握る。だが中国では経済合理性ではなく国策として国産EVが推進され、先行して需要が生まれる。そこで急速に存在感を増しているのが寧徳時代新能源科技(CATL)だ。

CATLの梁成都所長

CATLの梁成都所長

 3月、東京都内で開かれた電池の展示会でひときわ来場者の注目を集めた講演者がいた。中国の新興電池メーカー、CATLで研究開発を担当する梁成都所長だ。「CATLのEV向け電池は技術革新を通じて、内燃機関と同じだけの競争力をつけていくことができる」。梁所長は自信ありげに語った。

 CATLは中国の福建省に本拠を置く。日本のTDKが買収した香港の電池メーカー、アンプレックステクノロジー(ATL)から車載部門が独立して2011年に創業。以後、地場の商用車向け電池などで実績を重ねてきた。欧州完成車メーカーとの関係も深い。技術テストなどを重ね、独BMWには12年から多目的スポーツ車(SUV)「X1」向けに電池を納めている。

上場で1600億円調達計画

 深圳証券取引所での上場準備を進めており、131億元(約2200億円)の調達を計画している。その上場目論見書からは「紅い電池の新星」の姿が見えてくる。

 16年の売上高は148億元と1年で2.6倍に急成長。従業員の数は17年6月末で1万8000人と16年末から半年で6千人近く増えた。上場で調達する資金のうち約1600億円は中国国内の新工場への投資にあてる計画だ。

 16年時点での車載電池の生産能力は容量にして6.8ギガワット時だ。しかし新工場が稼働すれば、20年までに50ギガワット時の生産能力を確保する見通しだ。パナソニックがテスラ向けに米ネバダ州で手掛ける「ギガファクトリー」が、フル稼働すれば35ギガワット時であることを考えると、CATLの勢いがうかがえる。

 計画だけではなく、実績も急進が見込まれる。調査会社テクノ・システム・リサーチによると18年度の車載用リチウムイオン電池の出荷量シェアは首位のパナソニック18%に対して、CATLは17%になる見通し。中国最大手だった比亜迪(BYD)15%を追い越す。

 充電池の価格はEVの収益性を左右する。現実的な航続距離を確保するためにEVには大量の充電池を積むからだ。「HV6万円に対し、EVは140万円。売価に反映できるかと言われると答えづらい」。トヨタ自動車の小林耕士副社長は充電池のコストを引き合いに出して、EVの収益性について2月の決算記者会見でこう答えた。

 電池価格を抑えるには量産効果が重要で、各社は投資を競っている。CATLだけではなくパナソニックや韓国のサムスンSDI、LG化学などが能力増強を進めており、英調査会社のIHSマークイットは、世界の車載電池生産能力が20年に16年当時の4.5倍に膨らむとみている。

 米ゼネラル・モーターズ(GM)が明らかにしたLG化学からの電池セルの調達価格は1キロワット時あたり145ドル(約1万5400円)だ。だがCATLの梁所長は生産量の増加で「22年には1キロワット時あたり100ドル時代が到来するだろう」と語る。

 新興勢力のCATLが先行各社に臆せずに投資競争の真ん中を走れるのは、中国政府が19年に導入する「NEV規制」があるからだ。中国での生産と輸入の一定割合をEVやプラグインハイブリッド車(PHV)など「新エネルギー車」にすることを義務付ける。EVの台数が割り増しで換算されるなど計算は複雑だが、19年は10%、20年は12%というハードルが設けられている。

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