米雇用、2月は31万人増 月内の追加利上げ濃厚

2018/3/9 22:45
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=河浪武史】米労働省が9日発表した2月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数が前月比31万3千人増えた。増加幅は1年半ぶりの大きさで、市場予測(20万人程度)を大きく上回った。失業率も17年ぶりの低水準を維持。米連邦準備理事会(FRB)が20~21日に開く次回会合で、追加利上げに踏み切る可能性が強まった。

2月の就業者の増加幅は2016年7月以来の大きさで、前月(23万9千人増)からさらに改善した。設備投資が好調で建設業が6万人強増え、製造業や小売業も高い伸びだった。失業率は前月と同じ4.1%だった。平均時給は26.75ドルと前年同月比2.6%増にとどまり、賃上げ圧力がどこまで高まるかが今後の焦点となる。

2月5日にパウエル新議長が就任したFRBにとって、20~21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は新体制で最初の会合となる。パウエル氏は2月末の議会証言で「米経済は堅調で、さらなる段階的な利上げが最善だ」と表明。既に先物市場では9割弱の確率で次回会合での利上げを織り込んでいる。

焦点は先行きの利上げペースだ。イエレン議長(当時)が率いた前体制は物価停滞を不安視し、15年末から2年でわずか5回の利上げにとどめてきた。18年は年3回の追加利上げを基本シナリオとするが、パウエル氏は「物価が上向くとの確信をやや深めている」と指摘。市場には年4回に利上げペースが加速するとの見方が浮かんでいる。

実際、物価には上振れの兆しもある。1月の消費者物価指数(食品・エネルギー除くコア)が前月比ベースで約13年ぶりの上昇率となり、FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数もコアの上昇率が前月比0.3%と高い伸びだった。ドル安で輸入物価指数が上向くなど、物価には川上から川下まで上昇圧力がある。

景気全体も上振れする可能性がある。トランプ政権は10年で1.5兆ドルという巨額減税を実現し、議会も2年で3千億ドルという歳出拡大法を可決。大型の財政刺激策で労働市場が一段と逼迫し、FRBは「景気の過熱を避ける」(パウエル議長)ための予防的な利上げを求められ始めている。

FRBが警戒するのは、利上げに出遅れて物価が急伸し、その後かえって想定外に急激な金融引き締めを迫られることだ。前回の利上げ局面(04~06年)では17会合連続で引き締めを決断し、2年で4%強も金利を上げた。現在の米経済は潜在成長率が下がって、急激な利上げに耐えきれない。前回局面のように年2%も利上げすれば「米経済は景気後退に陥りかねない」(パウエル氏)。

イエレン氏が率いた前体制では、物価停滞を警戒して極めて緩やかな利上げにとどめてきた。物価の伸び率は前年比ベースで目標の2%に届いていないものの、上下両方向のリスクにどこまで目配りできるか。FRB新体制の政策運営は新たな局面に入る。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]