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東芝とWD、ようやく握手「手携える」

東芝の半導体メモリー子会社「東芝メモリ」は9日、四日市工場(三重県四日市市)内の新開発棟を15日に稼働すると発表した。成毛康雄社長と協業先の米ウエスタンデジタル(WD)のメモリー部門担当のシバ・シバラム上級副社長が同工場でそろって記者団の取材に応じ融和ムードを演出した。訴訟合戦を繰り広げた両社が和解から3カ月たってようやく公の場で握手を交わした。

稼働間近の新開発棟を視察した成毛氏とシバラム氏は笑顔で握手し記念写真に納まった。成毛氏は「WDと手を携えてしっかりやっていく」と強調し、シバラム氏は「開発棟は我々の協力関係の象徴となる」と応じた。8階建ての新開発棟「メモリ開発センター」では、スマートフォン(スマホ)やデータセンター向けの記憶媒体として使われるNAND型フラッシュメモリーの量産技術の開発を担う。

新開発棟内では東芝メモリとWD双方の技術者約2000人が技術開発にあたるという。シバラム氏は「両社の研究開発エンジニアが1カ所で仕事ができ、自由にアイデアを交換して一丸となって働ける」とした。成毛氏は「技術も複雑になっており、開発リソースを強化していく」と話し、東芝メモリとして今後2~3年で500人規模の半導体技術者を採用する方針も明らかにした。

東芝メモリの売却手続きでは、現在審査中の中国の独占禁止法が立ちはだかる。

成毛氏は「中国当局の承認を待っている。万が一(当初目標としていた3月末に)間に合わなくても東芝の財務状況は改善されている」と強調。その上で「4月、5月、6月のどこかには承認が出ると思っている」と話し、4月以降にずれ込んでも売却撤回はしない考えを示した。

東芝メモリの成毛社長とともに取材に応じたWDのシバ・シバラム氏。190センチ近い長身で笑顔を絶やさぬ同氏こそ、東芝とWDの「泥沼の訴訟合戦」を和解に導いた立役者だ。「剛腕」のスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)に代わって「柔」なるシバラム氏が17年秋の和解交渉を主導した。

シバラム氏はインド出身。米インテルなどで生産技術に携わり、自身で半導体ベンチャーを起業した。その後に米サンディスクの技術幹部を務め、16年5月にWDがサンディスクを買収した後に半導体メモリー部門のトップとなった。インテル在籍中の90年代後半に東京や大阪に駐在したこともある日本通で、成毛社長とは20年来の親交を持つ。

東芝とWDは17年、東芝が協業先のWDの承認なしに半導体メモリー事業の売却手続きを進めたことで法廷闘争を繰り広げた。先端メモリーの共同投資からの排除を持ち出した東芝の交渉術がWDを追い詰めた。強硬姿勢を崩さなかったミリガン氏だが、やがて「自分が前面に立ってはまとまらない」と判断し、交渉役としてシバラム氏を指名した経緯がある。

シバラム氏は9日の記者会見の冒頭、片言の日本語で「日本には雨降って地固まるということわざがある」と話し、成毛氏の笑顔を引き出していた。東芝メモリは東芝の連結対象から外れ、やがて利害関係の複雑な企業群が新たな株主となる。資本構成が変わった後も「世界的にユニークな協業」(シバラム氏)を守っていけるかは、この2人の信頼関係にかかっている。

(企業報道部 細川幸太郎)

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