2018年6月19日(火)

「トランプリスク」を再認識 市場、輸入制限に惑う

2018/3/9 14:41
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 【ニューヨーク=山下晃】世界の市場はトランプ米大統領による鉄鋼、アルミの関税導入の正式決定を固唾をのんで見守った。メキシコ、カナダを当面猶予するなど強硬な姿勢を和らげたため、米株式市場では過度な警戒感がやや後退した。だが、メキシコ、カナダ以外の国はトランプ氏に満足できる対案を示さない限り、課税対象となりかねない。市場では「トランプリスク」が再認識される結果となった。

 「関税導入は世界経済を傷つける。バッドアイデアだ」。モルガン・スタンレーを率いるジェームス・ゴーマン氏はトランプ米大統領の正式発表を控え、不満を漏らした。「米経済は世界の25%を占めるが人口の割合は5%。つまり米国は世界とうまく貿易をしてきたということだ」

 8日の米株相場は輸入制限策が正式に公表された直後は売りが優勢となった。ただ、直後の記者会見でトランプ大統領が免除国を広げる可能性を示唆すると反発。ダウ工業株30種平均は93ドル高で取引を終えた。世界各国で航空機を販売し、保護主義政策の影響が大きいとされていたボーイングや世界で建機を販売するキャタピラーは両銘柄とも上昇に転じた。

 トランプ政権は大幅な法人減税や規制緩和など「親ビジネス」政権とみられていた。しかし、鉄鋼産業と関連が大きいとみられる州の議会予備選挙が控えると、市場の混乱をいとわず保護主義に傾いた。

 鉄鋼とアルミニウムに関税を導入することによる米経済への直接的な影響は「限定的」とバークレイズのエコノミスト、マイケル・ゲイペン氏は指摘する。ただ「貿易の相手国の報復措置が不透明。これは始まりにすぎない」と先行きを懸念する。8日に米株相場が上昇しても米国債は買いが優勢で「リスクオン」状態にはならなかった。

 2016年11月の米大統領選前。市場が最も警戒していた「保護主義に傾倒するトランプ政権」という懸念が現実のものとなってきたためだ。「暗雲が垂れ込めている」。米ヘッジファンドの運用担当者は警戒を強めていた。

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