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米の保護主義、実行段階 輸入制限免除「交渉次第」

【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は8日、鉄鋼とアルミニウムに輸入制限を発動すると正式に決めた。安全保障を理由とする36年ぶりの異例の措置で、強硬な保護主義策は実行段階に入る。日本など同盟国には関税免除の余地を残すが、各国に「代替措置を求める」(米政府高官)という。高関税を振りかざして譲歩を迫る「トランプ流」の手法に、世界貿易は揺さぶられる。

8日に発動を決めた通商拡大法232条は、安全保障を理由に貿易を差し止める権限を米大統領に与えている。鉄鋼であれば中国などの不当廉売で国内供給力が落ち、武器製造や防衛技術の維持が難しくなるという理屈だ。トランプ氏も8日、大統領令に署名しながら「鉄とアルミは国家安全保障の生命線だ」と主張した。

ただ、輸入制限の理由を安全保障とみる向きはほとんどない。米国の鉄鋼消費量のうち防衛産業の割合は3%に満たないとされ、現時点でも国内だけで供給可能だ。トランプ氏は各国に交渉次第では関税の適用免除を与えると強調。その狙いは、鉄鋼・アルミ関税で各国に貿易不均衡の是正策を迫ることにある。

「米国は年8千億ドルもの貿易赤字を抱えている。どの国が我々を公正に扱っていくのか見ていく」。トランプ氏は大統領令の署名式でそう話した。カナダとメキシコは適用猶予としたが、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉次第だと主張し、両国に同協定で譲歩を求める姿勢を鮮明にした。

日本や欧州も米国に関税適用の除外を求めるとみられるが、その交渉条件は明確ではない。8日に示したのは(1)国家安全保障を脅かさないと確証できる代替措置(2)ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が交渉窓口になる――の2点だけだ。貿易赤字の削減策などが条件となれば、米国と各国の協議は極めて難しくなる。

13日にはペンシルベニア州で下院補選がある。鉄鋼の街、ピッツバーグ近郊が選挙区で、今回の輸入制限が選挙にらみであることは明白だ。2016年の大統領選では「中国に45%の関税を課す」などと強硬な通商政策を打ち出した。秋の中間選挙が近づき、トランプ氏の保護主義策は一段と激しさを増している。

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