欧州中銀「出口」へじわり 緩和拡大の可能性排除

2018/3/8 22:06 (2018/3/9 1:01更新)
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【フランクフルト=石川潤】欧州中央銀行(ECB)は8日の理事会で、声明文の一部を変更し、金融緩和の縮小を着実に進めていく姿勢を示した。経済・物価次第で「量的緩和政策の規模などを拡大する」としていた部分を削除した。政策金利や月々の資産購入額は現状のまま据え置いた。ECBは6月にも、2018年9月を期限とする量的緩和政策の終了の是非を判断する。

ECBは毎回の理事会後に発表する声明文で、今後の金融政策の進め方を示す。今回削ったのは、経済・物価の見通しが思わしくなければ量的緩和政策を再び拡大する用意があると書いた「緩和バイアス」と呼ぶ部分。市場参加者は今回の変更を、緩和縮小を逆戻りさせることはないとのメッセージと受け止めている。

一方で、量的緩和政策を終えても政策金利はしばらく現行水準で据え置くという部分は変更しなかった。現在は量的緩和の期限を9月末としているが、必要があれば延長するという一文もそのまま残した。

ドラギ総裁は記者会見で、欧州は力強い景気回復が続いており「物価が目標とする2%近くに向かっていくことを確信している」と話した。ドイツなどでは賃上げ圧力が強まりつつあり、デフレに陥るリスクが消えたとの自信が、表現の変更に踏み切らせたようだ。

ECBはすでに、18年1月、国債などの資産購入額を月300億ユーロ(約4兆円)に半減させている。今後の焦点は国債などの資産買い入れを期限である9月末で予定通り終えるかどうかだ。

現状では、(1)9月末で打ち切る(2)段階的に金額を減らして年内にもゼロにする(3)当面そのまま続ける――が主な選択肢で、ECBは6月をメドに方針を固めるとみられる。市場では9月末でいきなり打ち切るのではなく、終了する際もある程度の猶予期間を設けるとの見方が多い。

もっとも、ECBが駆け足で緩和縮小を進められるほど、ユーロ圏の物価上昇の勢いは強まっていない。消費者物価指数の上昇率は1%強にとどまり、ドラギ総裁も現状では「物価は抑えられた状態にある」と認めている。イタリア、スペインなど南欧では失業率が高止まり、当面は「相当程度の金融緩和が必要」(ドラギ総裁)というのが実情だ。

さらに足元ではユーロが対ドルなどで上昇基調にある。ムニューシン米財務長官が1月にドル安誘導とも受け取れる発言をしたこともあり、ECBが緩和縮小に前のめりだと受け止められれば、ユーロ高に歯止めが掛からなくなるとの警戒が強い。

米トランプ政権の保護主義的な貿易政策が世界経済の成長の重荷になる可能性も高まっている。ドラギ総裁は会見で「紛争は国際協調の枠組みの中で解決されるべきで、一方的な決定は危険だ」とクギを刺した。

ECBが8日発表した経済・物価見通しによると、ユーロ圏の成長率は18年が2.4%、19年が1.9%、20年が1.7%で、18年を0.1ポイント上方修正した。物価上昇率は18年と19年が1.4%、20年が1.7%で、19年を下方修正した。

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