/

米国輸入制限、国内でも懸念 中国限定求める声

【ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領が8日に鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を正式発表するのを前に米国内で懸念が広がっている。米議会や産業界からは制限対象を中国など特定国に絞るよう求める声が多い。輸入制限は鉄鋼やアルミを原材料とする米製造業のコストを押し上げかねないからだ。一方、トランプ氏は輸入制限は安全保障だけでなく、通商関係なども考慮して対象を決める考えを示唆しており、発動基準は複雑になる可能性がある。

「幅広い関税は税制改革の素晴らしい進展を傷つけることになる」。通商政策を担う下院歳入委員会のブレイディ委員長ら100人超の与党・共和党の下院議員は7日、連名でトランプ氏に再考を求める書簡を送った。「中国の不公正な慣行に対処するのは支持する」としたうえで、対象国は絞るよう訴えた。

共和党では上院でも財政委員会のハッチ委員長が6日に同様の書簡をトランプ氏に出した。

産業界もトランプ氏の説得に動いた。全米商工会議所のドナヒュー会頭は7日「世界全体で新たな関税を課すのは控えるよう求める」との声明を発表。当初はトランプ氏の関税発動を称賛していたアルミ協会も同日までに出した声明で「中国に標的を絞り、カナダ、欧州連合(EU)など重要な貿易相手国は除外する手法が望ましい」と強調した。幅広い国に関税を課せば、アルミ加工に携わる川下の業界に悪影響が及ぶと懸念する。製缶、ファスナーなど鉄鋼やアルミ関連で不安を抱える米製造業種は多い。

こうした声に対し、当初は全ての国に関税を課す構えだったホワイトハウスは例外を検討する考えを示した。サンダース大統領報道官は7日の記者会見でメキシコやカナダに加え、欧州など同盟国を適用除外にする可能性を問われ「安全保障に基づきメキシコやカナダを除外する可能性がある。ほかの国も同様だ」と答えた。日本政府は既に「同盟国である日本の鉄鋼とアルミの輸出は安全保障に影響しない」と米側に懸念を伝えている。

他方、トランプ氏は安全保障ではなく、通商交渉での相手の出方次第で除外国を決める考えを示している。6日には「北米自由貿易協定(NAFTA)でカナダ、メキシコと取引できるなら関税を課す理由はない」と語り、再交渉で両国が譲歩すれば課税しない姿勢を示した。ナバロ通商製造政策局長も7日のテレビ番組で、カナダとメキシコに即座には関税をかけないと説明し「(その間に両国は)公正なNAFTAを交渉する機会が与えられる」と明言した。

カナダのトルドー首相は7日の記者会見で「トランプ氏が(5日の電話協議で)『NAFTAで優れた合意ができれば、鉄鋼やアルミの関税を課す必要がない』とはっきりさせた」と明かした。

今回の輸入制限は通商拡大法232条に基づき「輸入増が安保上の脅威になっている」との理由で発動する立て付けだ。ただトランプ氏が通商交渉の結果で輸入制限の対象を決めるとなれば、安保を理由とした制限発動の根拠は失われる。

もっとも、輸入制限への賛成も多い。鉄鋼メーカーを抱える米鉄鋼協会は支持を表明した。大手のUSスチールは7日、輸入制限で国内品の需要が伸びると見込み、イリノイ州の溶鉱炉の操業を再開すると発表した。

最終決断を下すのはトランプ氏。ナバロ氏によると、トランプ氏は8日午後3時半(日本時間9日午前5時半)にホワイトハウスで輸入制限を命じる文書に署名する。関税の発動時期や例外措置を設けるか否かなどが焦点となる。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン