2019年8月18日(日)

大相撲 大阪・春場所支える稽古場、寺社多く(もっと関西)
とことんサーチ

2018/3/8 17:00
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大相撲春場所が11日、大阪・ミナミの「エディオンアリーナ大阪」で初日を迎える。全部で46ある相撲部屋は大阪を中心とする関西各地に宿舎と稽古場を設け、力士たちは鍛錬を重ねている。主な部屋の宿舎・稽古場が現在の場所になったのはなぜだろう。稽古見学の心得と合わせて探った。

■相撲愛 神事つなぐ縁

関西を代表する水族館、海遊館から徒歩10分の築港高野山釈迦院(大阪市港区)。横綱稀勢の里が所属する田子ノ浦部屋の宿舎と稽古場がある。先代親方(故・鳴戸親方=元横綱隆の里)の時代にこの寺院を紹介したのが総合物流会社、間口グループ(大阪市)会長の前田克巳さん(70)だ。

前田さんは元力士。元横綱初代若乃花が率いた二子山部屋で故・鳴戸親方の兄弟子だった。その縁で約20年前に鳴戸親方から「春場所での宿舎の場所を紹介してほしい」と頼まれた。間口グループ社長だった間口良男さん(故人)に相談し、間口さんが檀家総代だった同院が稽古場になった。

田子ノ浦部屋のように「稽古場は部屋関係者や後援者の紹介で決まるケースが大半。神事の側面もある相撲とゆかりの深い神社や、同じ日本の伝統文化である寺院が主な稽古場となってきた」(前田さん)。

今春も全46部屋の4割以上の19部屋が寺社に稽古場を構えている。関脇御嶽海が所属する出羽海部屋の稽古場は約20年前から祥雲寺(堺市)に。那須宗弘住職(68)は「部屋の後援会長と私の師匠が知人だった縁で依頼があった」という。

寺社の老朽化に伴い、近年は企業の所有地に稽古場を構える部屋も増えてきた。間口グループは同社の研修所(大阪府高石市)も二所ノ関部屋に提供している。今春、企業が保有する土地、建物を稽古場にしている部屋は8部屋ある。

2日早朝、祥雲寺に足を運んでみた。門の右手の建物が稽古場。外から窓越しに土俵をのぞくと、横綱千代の富士の全盛期に名関脇として鳴らした元出羽の花(出来山親方)の姿があった。往年の人気力士が親方として指導する姿を見られるのも見学の醍醐味だ。

出来山親方は「特別な来客がある日はお断りすることもある」としつつも、同部屋はマナーを守れば一般の人も入室して稽古を見学することを認めている。

稽古場には来客者が腰掛けるための長いすも用意している。この日は5~6人のファンが御嶽海らの稽古を見守っていた。同親方は「毎年来て『体つきが変わった』と若い力士の成長を喜んでくれる常連の見学客もいる」と語る。

横綱白鵬が所属する宮城野部屋の稽古場にも向かった。大阪市天王寺区上本町のコインパーキング内にプレハブ小屋を設けて稽古場としている。宮城野親方(元幕内竹葉山)によると、この土地は白鵬の後援者の所有地という。

■ホテル内に土俵 計画も

宮城野部屋も後援会関係者らの来客がある時以外は朝稽古を一般公開している。座敷に上がっての見学もOKだ。「バチンとぶつかる音もはっきりと聞こえ、迫力十分」。2月末、白鵬の稽古を座敷で見学した大阪市北区の奥地和也さん(34)は話していた。

「稽古を見学した子供が入門したいと思ってくれるかもしれない。見学客が新弟子を紹介してくれる可能性もある」と宮城野親方。地方場所の稽古場は新弟子を発掘する役割も担っているようだ。

宮城野親方によると、この敷地にはホテルを建設する計画が進む。2019年から春場所期間中にホテル1階のフロアに土俵を設け、稽古場にする予定だ。

「宿泊者が稽古を見学できるようになると聞いている」と同親方。来春には訪日客増加でホテル新設が相次ぐ大阪の今を象徴する稽古場がお目見えする。相撲部屋の稽古場事情も時代とともに変わりつつある。

(大阪地方部 田村城)

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