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しなやかに熱く 女子プロ野球が21日開幕

2018/3/12 6:30
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 女子プロ野球をご存じだろうか。間もなくシーズンが開幕するのはプロ野球、大学野球、高校野球だけではない。日本女子プロ野球リーグも3月21日からリーグ戦が始まる。紀貫之著、土佐日記の冒頭を借りれば、「男もすなる野球といふものを、女もしてみむとてするなり」といったところだが、女子の野球とあなどるなかれ。主戦投手なら球速は130キロに迫り、男子プロと同じボール、同じ広さの球場で、外野スタンドまで届くホームランも出る。それでいてグラウンドに漂うしなやかさ、華やかさは、男子プロにはない魅力。徐々にファンの裾野も広がっている。

年間60試合のペナントレース

今シーズンからチームの指揮を執る辻内監督(左)と大山唯コーチ

今シーズンからチームの指揮を執る辻内監督(左)と大山唯コーチ

 女子プロ野球がスタートしたのは2010年。健康食品メーカー、わかさ生活(京都市)が中心となって活動を支援している。関西の2チームでスタートし、現在は育成チームを含め4チームある。主力3チームは埼玉アストライア、京都フローラ、愛知ディオーネ。21日、名古屋ドームでのアストライア―ディオーネ戦を皮切りに、年間60試合のペナントレースが始まる。

 関東圏唯一のチーム、埼玉アストライアは昨季、年間優勝を遂げた。今季から元巨人投手の辻内崇伸氏が監督に就任した。辻内氏は甲子園でも活躍し、05年のドラフト1位で巨人に入団、期待されたがプロでは結果を残せず13年に引退した。母校、大阪桐蔭高の西谷浩一監督の勧めもあり、14年からアストライアのコーチになった。プロ引退後の進路に迷ったが、野球に関われる仕事ならと、女子野球の世界に踏み込んだ。

 指導にあたり辻内氏が最も気を付けているのは、言葉遣いだという。自分が高校やプロで指導者たちから受けてきた言葉を、そのまま女子選手相手に使ったら大変なことになる。イライラしても、ムカッとしても、ひと呼吸、ぐっとのみ込んでから声を出すようにしている。辻内氏は「若い選手が多く、技術的にも体力的にも伸びしろが大きい。まずは連覇を目指し、女子プロ野球の魅力を少しでも発信したい」と意欲を見せる。

 チームの主軸を担うのが川端友紀(28)。プロ野球、東京ヤクルトスワローズの川端慎吾の妹だ。兄ゆずりの柔らかなバットコントロールで左右に打ち分け、安打を量産する。過去に3度、首位打者になっており、打点、出塁率も合わせた三冠女王に輝いたこともある。筋トレの成果で、昨季はスタンドまで飛ばす本塁打も出るようになった。

川端(左)は今季、首位打者奪還を目指す。加藤は「打率3割5分が目標」と語る

川端(左)は今季、首位打者奪還を目指す。加藤は「打率3割5分が目標」と語る

 選手の多くはソフトボール経験者だ。小中時代は男子に交じって野球をするが、高校で女子の硬式野球部は少なく、ソフトボールに転向することが多い。ソフトボールで世界を目指す道もあるが、川端の場合、少年野球の指導者だった父や兄からの「お前はソフトボールより野球に向いている」という言葉に背中を押され、プロ野球の門をたたいた。川端は「野球好きの少女たちに、夢をあきらめてほしくない。私たちが頑張ることで野球を続ける道があることを示したい」と目を輝かす。

野球好きの思い、男子に負けず

 女子プロ野球の認知度向上にひと役買っているのが、加藤優(22)だ。「美しすぎる野球選手」などとマスコミに取り上げられることも多く、注目度は高い。中にはアイドルを追いかけるような感覚で球場に足を運ぶ男性ファンもいるが、加藤は「どんな動機であれ、まずは試合を見にきてくれることが大事」と悪びれない。その上で、「私たちの野球に対するひたむきさ、かける思いを感じとってくれたらうれしい」。

 女子プロ野球の認知度はまだこれからだ。午前中の練習が終わると、選手たちはポスター張りやチラシ配り、野球教室などに散っていく。遠征は2チーム合同、同じバスで行く。年俸は200万円程度が基本。月間最優秀選手(MVP)や個人タイトルなどを獲得すればボーナスもあるが、スター選手でも、男子のプロ野球と比べれば収入はゼロが2桁少ない。副業も禁止されている。それでも野球が好きという思いは男子に負けない。彼女たちのさわやかな戦いの場にぜひ一度、足を運んでほしい。

(編集委員 鈴木亮)

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