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非正規待遇格差 最高裁が初判断へ 4月に弁論

正社員と非正社員の待遇の格差が違法かどうかが争われた2件の訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は7日、原告の非正社員と、会社側の双方から意見を聞く弁論期日を4月に指定した。労働契約法20条が禁じる「不合理な格差」の線引きを巡る司法判断が割れており、最高裁が解釈について初判断を示すとみられる。判決言い渡しは5~6月ごろの見通し。

正社員と非正社員の待遇の格差を是正する「同一労働同一賃金」の実施は、通常国会の焦点である働き方改革関連法案の柱の一つ。最高裁判決次第では非正社員の待遇に影響する可能性もある。

上告審では仕事の内容が正社員と変わらない場合、賃金や各種の手当などのうち、どのような労働条件の違いが「不合理」に当たるかどうかが最大の焦点。最高裁は(1)正社員と非正社員の仕事内容や責任の程度が同じかどうか(2)転勤の有無やその範囲――などの事情を踏まえて判断するとみられる。

最高裁が弁論を開くことを決めたのは、物流会社「ハマキョウレックス」(浜松市)、運送会社「長沢運輸」(横浜市)のトラック運転手が起こした2件の訴訟。

ハマキョウレックス訴訟は契約社員の男性が原告。2016年7月の二審・大阪高裁判決は、通勤手当や給食手当などで正社員と格差があるのは不合理だとして同社に77万円の支払いを命じた。

長沢運輸訴訟では、定年後の賃金引き下げの是非が争点。一審・東京地裁判決は有期契約で再雇用された男性3人に対し、定年前と同水準の賃金を支払うよう命じた。これに対し、二審では「定年後の賃金引き下げは社会的に容認されている」として原告側が逆転敗訴した。

このほか、日本郵便で働く契約社員が起こした訴訟では、17年9月の東京地裁判決、18年2月の大阪地裁判決でいずれも原告側が一部勝訴している。これまでの地裁、高裁段階では結論が分かれており、最高裁は判断の枠組みや一定の線引きを示す必要性があると判断したとみられる。

 ▼労働契約法20条 非正社員の待遇改善のため、旧民主党政権下で労働契約法が改正され、2013年に施行された。契約社員やパート従業員として働く人と正社員との間で、賃金や福利厚生などに不合理な待遇の違いを設けることを禁じている。

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