2018年9月21日(金)

一枚上手の相撲論(浅香山博之)

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こだわり持って力士は自分の型を磨け

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2018/3/9 6:30
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 大相撲春場所は11日、エディオンアリーナ大阪で初日を迎える。注目の一人は1月の初場所で平幕優勝を飾り、関脇に返り咲いた栃ノ心だろう。怪力を生かした右四つ左上手の自分の型を持ち、大けがを乗り越えて賜杯を抱いた。これを機に型について語っていきたい。

感じられた常に前に攻める意識

栃ノ心(左)は右四つ左上手という自分の型を持っている

栃ノ心(左)は右四つ左上手という自分の型を持っている

 先場所の栃ノ心は雑な相撲がなくなり、率直に強いと思える内容だった。立ち合いの鋭い踏み込みから攻めていき、攻めていく中で自分の形をつくっていった。以前は左上手を安易に取りにいこうとして、逆に攻められる印象があったが、先場所はたとえいなされても常に前に攻めるという意識が感じられた。192センチ、177キロのあの鍛えられた肉体が前に出て当たってきたら、相手からすればこの上なくやりづらい。栃ノ心からすれば、立ち合いで当たって、少しでも前に圧力をかけることで、ほしいまわしも近くなる。栃ノ心はかいな力が強く、それが一番生きる右四つ左上手という自分の型を持っている。それでずっと相撲を取ってきているのだから、自分の形になればやっぱり強いなと思った。

 自分も左四つ右上手という型があったが、栃ノ心の優勝を見て、力士は型を持った方がいいと改めて感じた。こうなったら負けないという型をしっかり持っていれば、調子がいいときは余計なことを考えなくても、攻めていくうちに体が勝手に反応して、自分の形になれるもの。その形になれば勝てる確率も当然高くなる。自分の現役時代を振り返っても、上手さえ取れば何とかなるという感覚があった。もちろん自分の形に毎回なれるわけではない。本場所15日間なら完璧に自分の形になれるのは半分あるかどうかだ。ただ、前に攻めて自分の形をつくろう、つくろうとしているうちに、相手も下がっていく。相手が引いて勝つこともある。自分の形にこだわって相撲を取っているからこそ、勝ちにつながることだってある。

 自分は相撲をろくにやったことがないまま15歳で入門し、最初はどう相撲を取ったらいいのか全くわからなかった。頭からぶちかましたり、もろ手で攻めたり、いろいろと試しながら稽古をしていくうちに、関取に上がる前の17、18歳のころだったか、自然と左四つの形になった。さらに右の上手が取れたら力が出せることに気づいた。右上手が引けなければ、攻め込まれて負けることも多く、自分は絶対に右を取らなきゃダメだと思って、そこからずっと徹底して左四つ右上手を磨いてきた。毎日毎日、一日50番、100番稽古をやって半分以上は自分の形で相撲を取る。そこばかりを鍛えていき、型がしっかりできてきた。もちろん相手も研究してきて、右を差してきたが、自分も徹底して左を固めて、左四つにこだわってやってきた。

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