2019年9月20日(金)

一枚上手の相撲論(浅香山博之)

フォローする

こだわり持って力士は自分の型を磨け

(1/2ページ)
2018/3/9 6:30
保存
共有
印刷
その他

大相撲春場所は11日、エディオンアリーナ大阪で初日を迎える。注目の一人は1月の初場所で平幕優勝を飾り、関脇に返り咲いた栃ノ心だろう。怪力を生かした右四つ左上手の自分の型を持ち、大けがを乗り越えて賜杯を抱いた。これを機に型について語っていきたい。

感じられた常に前に攻める意識

栃ノ心(左)は右四つ左上手という自分の型を持っている

栃ノ心(左)は右四つ左上手という自分の型を持っている

先場所の栃ノ心は雑な相撲がなくなり、率直に強いと思える内容だった。立ち合いの鋭い踏み込みから攻めていき、攻めていく中で自分の形をつくっていった。以前は左上手を安易に取りにいこうとして、逆に攻められる印象があったが、先場所はたとえいなされても常に前に攻めるという意識が感じられた。192センチ、177キロのあの鍛えられた肉体が前に出て当たってきたら、相手からすればこの上なくやりづらい。栃ノ心からすれば、立ち合いで当たって、少しでも前に圧力をかけることで、ほしいまわしも近くなる。栃ノ心はかいな力が強く、それが一番生きる右四つ左上手という自分の型を持っている。それでずっと相撲を取ってきているのだから、自分の形になればやっぱり強いなと思った。

自分も左四つ右上手という型があったが、栃ノ心の優勝を見て、力士は型を持った方がいいと改めて感じた。こうなったら負けないという型をしっかり持っていれば、調子がいいときは余計なことを考えなくても、攻めていくうちに体が勝手に反応して、自分の形になれるもの。その形になれば勝てる確率も当然高くなる。自分の現役時代を振り返っても、上手さえ取れば何とかなるという感覚があった。もちろん自分の形に毎回なれるわけではない。本場所15日間なら完璧に自分の形になれるのは半分あるかどうかだ。ただ、前に攻めて自分の形をつくろう、つくろうとしているうちに、相手も下がっていく。相手が引いて勝つこともある。自分の形にこだわって相撲を取っているからこそ、勝ちにつながることだってある。

自分は相撲をろくにやったことがないまま15歳で入門し、最初はどう相撲を取ったらいいのか全くわからなかった。頭からぶちかましたり、もろ手で攻めたり、いろいろと試しながら稽古をしていくうちに、関取に上がる前の17、18歳のころだったか、自然と左四つの形になった。さらに右の上手が取れたら力が出せることに気づいた。右上手が引けなければ、攻め込まれて負けることも多く、自分は絶対に右を取らなきゃダメだと思って、そこからずっと徹底して左四つ右上手を磨いてきた。毎日毎日、一日50番、100番稽古をやって半分以上は自分の形で相撲を取る。そこばかりを鍛えていき、型がしっかりできてきた。もちろん相手も研究してきて、右を差してきたが、自分も徹底して左を固めて、左四つにこだわってやってきた。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

大相撲のコラム

電子版トップスポーツトップ

一枚上手の相撲論(浅香山博之) 一覧

フォローする
名古屋場所の取組で朝乃山(右)を攻める御嶽海。同年代で互いに意識し合う力士たちの競争が注目される=共同共同

 大相撲秋場所は8日、両国国技館で初日を迎える。上位のベテラン勢に対して、着実に力をつけてきた御嶽海や朝乃山といった20代半ばの中堅どころがどこまで食い込めるか。互いに意識し合う同年代の力士たちの競争 …続き (9/6)

名古屋市内の千賀ノ浦部屋宿舎ですり足をする貴景勝。まだ22歳、しっかりと鍛え直せばいい=共同共同

 大相撲名古屋場所は7日、ドルフィンズアリーナで初日を迎える。先場所、右膝を痛めて途中休場した大関貴景勝は回復が間に合わず、かど番の今場所も初日から休場という決断になった。まずは何よりもけがをしっかり …続き (7/5)

春場所千秋楽の三本締めが問題となり、処分を協議するために開かれた日本相撲協会の理事会に向かう白鵬=共同共同

 大相撲夏場所は12日、両国国技館で初日を迎える。元号が令和に変わって最初の本場所を迎える前に、これまで昭和、平成と築き上げてきた相撲の伝統をいかに次世代へ受け継いでいくかという問題について考えておき …続き (5/10)

ハイライト・スポーツ

[PR]

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。