2019年9月17日(火)

一枚上手の相撲論(浅香山博之)

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こだわり持って力士は自分の型を磨け

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2018/3/9 6:30
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あるとき、立ち合いで自分から当たることを忘れてしまったような時期があった。すると左を差しにいってもおっつけられる。左は差せないし、横を向かされて、上手も遠くなった。そのときに思い出したのが、前に出て攻めるという相撲の基本。当たって前に出ることで、少しでも相手を起こせれば、左を差しやすい。左が入れば相手との距離も縮まって右の上手も近くなり、まわしも引きやすくなる。先場所の栃ノ心もそうだったように、どんな型でも前に出ることがまず一番大切だ。

日ごろの稽古から考えてこそ

横綱白鵬も右四つという絶対的な型を持っている=共同

横綱白鵬も右四つという絶対的な型を持っている=共同

飛躍が期待される関脇の御嶽海や平幕の正代の相撲を見ていると、どうしても半端な印象を受ける。得意な形はあるのだろうが、絶対的にこうだという型がみられない。特に正代は相手に合わせて相撲を取っているように感じる。絶対的な型がないと、けんか四つのときについつい根負けして相手十分の形になったり、自分の形でないときに隙ができたりすることが多いように思う。

横綱の白鵬も右四つという絶対的な型を持っている。巡業などで自分の型を確かめながら稽古しているから、自分の形に持っていくことがうまい。こだわりを持ってやってきたからこそ、あの強さがあるのだと思う。その横綱や大関といった自分より強い相手に相撲を合わせていては、ずっとかなわないままだ。上位に勝つことだってあるだろうが、何となく勝ったところで次にはつながらない。自分の型を極めて上位を倒していってこそ自信にもなる。そうすれば相撲に安定感も出て、三役にも定着、大関に上がることもできると思う。実力がある若手が上位に顔を出すようになってきているとは思うが、日ごろの稽古から考えて自分の型を磨いていかないと、上位で安定した力はつかないのではないか。

自分が現役のときは、ご当地の九州場所などで右上手を取ると館内がわいた。お客さんが自分の相撲を覚えているとわかって、本当にありがたい気持ちだった。力士が攻防を繰り広げる中で、どちらが先に自分の形になれるか。そういうのを見て楽しむお客さんもいると思う。ただ、最近の力士は相撲以外のキャラクターで覚えられているようなところがあって、力士として深みがないように感じる。代名詞となるような取り口があった方が盛り上がるし、相撲の中身で引きつけてこそファンもまた見にいきたいと思うはず。そういう意味でも型はあった方がいいだろう。

(元大関魁皇 浅香山博之)

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