2018年11月16日(金)

造船の三菱、もう一度 長崎で4年ぶり護衛艦引き渡し

2018/3/7 13:57
保存
共有
印刷
その他

三菱重工業は7日、長崎造船所(長崎市)で護衛艦「あさひ」を海上自衛隊に引き渡した。長崎での護衛艦の引き渡し式は2014年以来、4年ぶり。護衛艦で初めて内燃機関と電気の「ハイブリッド駆動方式」を採用した最新鋭艦で、建造費は約760億円に達した。存在感が低下していた三菱重工には久々の晴れ舞台となった。

護衛艦としては初めてのハイブリッド方式を採用した最新鋭艦だ

■「三菱造船」半世紀ぶりの社名

風にはためていたスリーダイヤの社旗がゆっくりと下ろされる。約220人の乗組員を前に艦上であいさつした村川豊・海上幕僚長は北朝鮮や中国を名指しして「日本の安全保障環境は戦後最も厳しいと言っても過言ではない」と述べた。あさひには護衛艦として初めて、潜望鏡探知レーダーも搭載される予定だ。

対潜、対空、対水上と広く使えるのがあさひのセールスポイントで、全長は151メートル、排水量は約5100トン。ガスタービン2基を搭載し、電気とハイブリッドで最大30ノットの速力を生み出す。自衛隊も燃費の大幅な改善に期待している。

午後1時前、「任務完遂のため、ここ長崎を出港します」という高岡智艦長の宣言を最後に、配備される佐世保へと出港。多くの三菱重工社員が感慨深げに見送った。

三菱重工にとって長崎は特別な場所だ。同社は岩崎弥太郎が明治政府から払い下げを受けた長崎造船所がルーツ。1月に造船事業を再編して「三菱造船」など2社を発足させた造船事業も、長崎と下関(山口県)を拠点に再スタートを切った。三菱造船は戦前と戦後に2度、実在した伝統の社名で、およそ半世紀ぶりの復活となった。

とはいえ、日本が世界に冠たる造船大国だった当時とは置かれた状況に天と地ほどの差がある。中国、韓国の安値攻勢に押され、建造能力でも総合重工は今治造船など専業に及ばない。長崎造船所も豪華客船の建造で累計2500億円超の損失を計上するなど、ここ数年は苦戦続きだった。

この日の引き渡し式には三菱造船の大倉浩治社長も列席した。下関を生産拠点に中小型船の建造や設計、調達を受け持つ同社の損益は「赤字ではない程度の水準。非常に厳しい」(大倉社長)。現在は1000億円あまりの売上高を10年後には倍増させるという強気の経営計画をベースに、反転攻勢にこぎ出した。

(市原朋大)

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報