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ビデオ判定承認に内包されたサッカーの危機
サッカージャーナリスト 大住良之

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2018/3/9 6:30
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サッカーの競技規則を定める国際サッカー評議会(IFAB)が「ビデオ副審(VAR=ビデオ・アシスタント・レフェリー)」を承認した。世界の統括機関である国際サッカー連盟(FIFA)の外に置かれ、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの英国4協会とFIFAで構成される。毎年3月上旬に開催される年次総会でルールの改変などを決定する。今年の年次総会は3月3日にスイスのチューリヒにあるFIFA本部で開催され、「全会一致」でVAR導入を決めた。

IFABのルール改正決議案は英4協会が各1票、FIFAが4票を持ち、投票の4分の3、すなわち6票以上取らないと可決されない。FIFAの意向だけでは決まらない。ただ、FIFAはジャンニ・インファンティノ会長が2年前から「2018年までに正式承認してロシアで開催されるワールドカップで使用する」と明言しており、4票が賛成に回ることは確実だった。

しかし、欧州で広く「テスト運用」が行われた結果、選手やコーチたちから「時間がかかりすぎて試合の流れが途切れる」と反対意見が出ている。英4協会から一つも反対意見が出なかったのは驚きだった。

ともかくVARは正式にルールで認められることになった。3月16日に南米コロンビアの首都ボゴタで開催される「FIFAカウンシル(旧理事会に代わる会議体)」で、FIFAはワールドカップでのVAR使用について審議するが、それは形式的なものにすぎない。

結果に影響与える重要事項だけ

VARシステムを簡単に説明しておこう。これまで通り試合は主審1人、副審2人、そして第4の審判の計4人で進められる。しかし(1)ゴール(2)PK(3)一発退場(4)警告、退場の人定――の4項目で、主審の判定に誤りの可能性があるときに限り、VARが主審に注意をうながす。

ビデオ判定は2人(VARとアシスタントVAR)で行い、スタジアム外の特別施設で映像オペレーターの協力を受けて上記4つの場面を検証する。そして明らかに間違っている場合、あるいは主審自身が映像を見直して判断する方がいい場合にその旨を無線で主審に伝える。

17年コンフェデ杯ロシア大会でもVARがテストされた

17年コンフェデ杯ロシア大会でもVARがテストされた

重要なのは、VARが介入するのが上記の「試合結果に影響を与える重要事項」だけであることだ。ボールがどちらに触れてタッチラインに出たのかなどは、すべてピッチにいる審判員の判断に任せられる。

IFABがVARのテスト導入を認めたのは16年3月。以後、20を超す国で1600以上の試合で使われてきた。FIFAも16、17年のクラブワールドカップ、17年のU-20(20歳以下)ワールドカップ(韓国)、コンフェデレーションズカップ(ロシア)で実際に使ってテストを重ねてきた。

今回のIFAB年次総会で示された約1000試合の検証データ(ベルギーのルーベン・カトリック大が分析)によると、VARを使っていなかったときの上記4項目の判定精度は93.0%だったが、VARを使った試合では98.8%に達したという。

重大なミスが減少したのは非常によいことだ。

しかしVAR導入は、それ以上にサッカーの重大な危機をはらんでいると私は考えている。

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