2018年9月23日(日)

静岡・河津町「泣けるグルメ」で誘客 特産ワサビ生かす
(35市町わがまち地方創生)

2018/3/7 1:31
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 早咲きで知られる河津桜が咲き誇っている。毎年90万人以上が訪れる「河津桜まつり」が2月10日から3月10日まで開催。地元の観光業界にとって最も忙しい時期だが、桜のシーズンが終わると客足が途絶えるのが町の課題だった。桜以外にも町の魅力を伝えようと河津町商工会などが「ワサビ」で新たなブランドづくりに取り組んでいる。

河津桜まつりで「あんバタわさこ」を販売する「泣かせ隊員」

 静岡県の調査によると、人口7300人の河津町に2015年度は152万人の観光客が訪れた。ただ、早咲き桜のシーズンの2~3月に3分の2が集中している。

 「通年で人が呼べる観光地をめざそうと考えた時、特産のワサビで町おこしができるのではと思った」

 商工会の長谷川裕規事務局長は日本農業遺産にも登録されている県内産のワサビに着目した。なかでも河津町は16年度の生産量(根茎)で伊豆市、静岡市に次ぐ3位だ。13年に商工会と町役場、観光協会、農協などから有志が集い新商品の開発や販促を手がける「河津わさびで泣かせ隊」を結成した。

 ワサビを練り込んだバターとあんこをパンで包んだ「あんバタわさこ」、洋酒をベースにレモンやワサビを入れたカクテル「わさモヒート」――。14年春から新商品を相次ぎ発売。1年間で7つの商品を開発して売り出した。

 取扱店は約25人の泣かせ隊のメンバーが町内の商店を巡って地道に開拓する。飲食店とはアユを使っただし醤油(しょうゆ)とワサビを絡めた「河津鮎泣きソバ」にも取り組んだ。

 とはいえ、単にワサビを使ったレシピや商品を開発するだけでは、多くの観光客をひきつけるのは難しい。そこで「河津町はワサビの聖地であるというストーリーづくり」(長谷川事務局長)にこだわったのだという。

 地元の山間地にある食堂でまかない料理として食べられていた「ワサビ丼」を「主役」に抜てき。ご飯にかつお節とワサビを載せただけのシンプルな丼だが、テレビ東京の人気グルメドラマ「孤独のグルメ」を誘致。河津のワサビの魅力を全国に発信した。

 ワサビ丼は1杯500~1000円。番組で取り上げられた食堂は「1日200食出るときもある」という。人気は町外の飲食店にも広がるほどで「泣けるグルメ ワサビ丼の聖地“河津”から」というキャッチコピーで観光客にアピールしている。

 勢いにのって17年度にはワサビのグルメコンテストを開催。主婦や高校生ら33の応募作品のなかからグランプリと準グランプリを商品化した。

 泣かせ隊員は活躍の場を広げ、町外での展示会出展や映画のロケ誘致の支援にも携わる。「通年観光地」の実現はまだ先だが、試みの枠は着実に広がりつつあるようだ。

(安藝悟)

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