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サメに超接近! 圧巻の水中写真が海の大切さ訴える

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

「水中の世界と水上の世界の間。それこそ、息をのむような写真が生まれる場所です」と話すのは、写真家のシェーン・グロス氏だ。彼が撮影する写真は、海洋生物の生き生きとした姿、美しい海の様子を余すところなく伝えてくれる。そして、海洋保全の大切さを訴えかける。人々の意識に変化をもたらすために撮り続けるという、グロス氏の思いが詰まった写真の数々を紹介しよう。

子供のころから海洋保全に強い関心を抱いていたグロス氏は、海で生活したいと願っていた。海洋生物学へ向かっていた彼の道のりは、やがて写真へと転じる。「愛する動物たちに近づくには、写真のほうがよいと気づいたからです」

現在、グロス氏はバハマでダイビングのインストラクターをしながら、年間を通して写真撮影を行っている。2017年には、ナショナル ジオグラフィックのネイチャー写真コンテスト「National Geographic Nature Photographer of the Year」にも参加した。「地球が直面しているさまざまな問題に圧倒されているのは、私だけだとは思いません。しかし、持てる技術と情熱を海洋保全に注ぐことで、小さな変化を起こせると信じています。それが私を突き動かしている力です」

グロス氏はいつも、撮影にあたり緻密な計画を立てる。撮影する動物や環境を深く理解するために、ロケに出るときは研究者が同行することが多い。キューバのジャルダン・デ・ラ・レイナ(女王の庭)海洋保護区を訪れたとき、今までにない視点でサメを撮影したいと考えた。そこで、カメラを岩に固定して海面を向け、タイマー付きリモコンを使って撮影した。

「サメは臆病というわけではありませんが、ダイバーから1.5メートルほどの距離をおきたがります。だから、その範囲には入らないようにしました。サメを怖がらせるダイバーがいなければ、カメラに興味を持って近づいてくるかもしれないと考えたのです。思い描いていたものとは違いましたが、実際に撮れたのはそれ以上の写真でした」

ワニの接写に成功したときは、実際に水に入るかなり前から計画を立て始めた。「水に入る6カ月ほど前に準備を始めました。だから、マングローブの森で最初にワニを見たときには、もうすっかり興奮していましたよ」とグロス氏は振り返る。水面で反射するワニの姿をとらえた印象的な写真。それに必要だったのは忍耐力だ。

「ワニはとても臆病な生きものです。私の存在が気にならなくなるまで、2時間ほどかけてゆっくりと近づきました。数枚の写真を撮ったとき、ボートにいた人たちがもう時間だと叫びました。水中で撮影していて、好きなだけ時間をかけられたことなんて一度もありません」

写真を通じて海洋生物のことを広く伝えたいというグロス氏の情熱は今も変わらない。「食べている魚が今後も持続可能な種なのかどうかわからない人や、自分の食事の影響について考えたことがない人は、ぜひこれを警鐘ととらえていただきたいのです。皆さんがスーパーマーケットやレストランでものを買うことによって、とても大きな影響が生まれているのですから」

次ページで、グロス氏の情熱が詰まった水中写真をさらに7点紹介。

(文 Sarah Polger、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2017年11月11日付記事を再構成]

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