スマホで施工管理のオクト、セールスフォースなど出資

2018/3/6 12:33
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クラウド経由の建設プロジェクト管理ツールを手がけるオクト(東京・品川、稲田武夫社長)は6日、米国拠点のベンチャーキャピタル(VC)、ドレイパーネクサス・ベンチャーズや米セールスフォース・ドットコムなど3社から総額約4億円を調達したと発表した。スマートフォン(スマホ)で施工管理ができるツール「ANDPAD(アンドパッド)」で、受発注や顧客管理などの機能を拡充。セールスフォースとも連携し、取引社数を早期に1万社に増やす計画だ。

クラウド型建設プロジェクト管理ツールを手がけるオクト(東京・品川)の稲田武夫社長

オクトが実施した第三者割当増資をドレイパーネクサスと、セールスフォースのVC部門セールスフォース・ベンチャーズ、シンガポール拠点のVCのBEENEXT(ビーネクスト)が引き受けた。

いずれもネット経由でソフトウエアを提供する「SaaS」ビジネスに詳しい人材を有し、海外のネットワークも持つVCだ。ドレイパーネクサスの倉林陽マネージングディレクターがオクトの社外取締役に就くことも決まった。

「ANDPAD」は2016年4月にサービス提供され、新築やリフォーム、商業施設などの建設現場を対象に、施工会社と職人の間の業務をスマホで効率化できるのが特長だ。いまだに紙やFAXに依存する業界で、スマホで簡易に施工内容を入力でき、チャットによる問い合わせ・チェック機能、現場の写真送信などの業務が効率化できる。タイムカード代わりになり労務管理も対応する。

建設業界はIT(情報技術)対応の遅れが指摘され、職人の高齢化や人手不足も深刻だ。オクトは年代問わず使いやすいスマホを起点にしたサービスで顧客を広げ、今年1月時点で約800社が使うまでに広がった。これら施工会社と取引関係にある会社は約8000社、現場で使っている職人は数万人に達する。使用現場は1件あたり10億円以下が中心で、20万円程度の少額リフォーム工事でも使われているという。

稲田社長は「年内にはセールスフォースのクラウドサービスと連携し、建設会社の営業管理から施工管理まで一元化できるようにする。施主の入金管理、クレジットカード決済などの決済領域にも対応していきたい」と語る。オクトは建設現場の施工管理では先行し、他の領域までカバーし建設業に関するあらゆるデータを集めようとしている。

リクルートホールディングス出身の稲田社長は14年にオクトを本格的に立ち上げ、建設(コンストラクション)にITが融合した「コンテック」分野の成長性に着目した。業界特化型のクラウドは米国で伸びている。今回のオクトの調達額は創業初期の「シリーズA」としては日本国内では大きめの4億円。投資家の期待の高さはうかがえる。

同時にコンテックは華々しいばかりでなく、地方建設会社への営業などきめ細かさも求められる。オクトは業界出身者を多く採用し、取引先に出向いてのスマホ画面の使い方の説明会など地道な活動を続けてきた。年末には従業員数を60人と倍増し、福岡市に次いで大阪市にも営業拠点を設ける方針だ。

同時に人工知能(AI)に明るい技術者も採用済みで、現在スマホでやりとりされてきたデータの活用をにらんでいる。稲田社長は「業界の業務を見える化して、いい仕事をする職人が評価されるようにしていきたい」と語る。IT化が遅れた建設業界だが、住宅は新築・リフォーム問わず嗜好性が強い分野だ。オクトの取り組みはCtoC(個人間取引)が広がる第一歩になるかもしれない。

(企業報道部 加藤貴行)

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