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「壮行会も便乗商法」 スポンサー権利保護の難しさ
編集委員 北川和徳

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2018/3/7 6:30
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20年前の長野冬季五輪で最大のヒーローといえば、ノルディックスキーのジャンプで金2個を含む計3個のメダルを獲得した船木和喜(フィット)だった。当時22歳の船木はデサントの社員。高校卒業後の彼を同社が支えて世界のトップジャンパーに育てた。だが、表彰台の真ん中に立った船木が着ていたのはライバル会社のウエア。ミズノが長野大会と日本オリンピック委員会(JOC)のスポンサーとなり、日本選手団のユニホームなどを独占的に提供する権利を持っていたためだ。

激励会が非公開に、垂れ幕も不可

デサントの担当者は大会前から「なんで船木がミズノの広告塔になるのか」とぼやいていた。ミズノが発売した表彰式用の紺色の公式ウエアのレプリカは上下で約7万円近くしたが、日本のメダルラッシュの追い風を受けて大ヒット商品になった。

平昌五輪代表選手が所属する企業や学校が壮行会や激励会、応援風景を自由に公開できなかったことが問題になっている。多額の協賛金を支払うことで五輪・オリンピックの呼称やマーク、大会イメージを宣伝や広告に活用できるスポンサー企業の権利を守るため、日本オリンピック委員会(JOC)がそう指導したという。そのニュースを聞いて、当時のデサントの担当者のぼやきと苦笑いを思い出した。

小平奈緒選手の応援で長野県茅野市役所の会場に集まった人たち。パブリックビューイングは自治体が主体の場合のみ認められた=共同

小平奈緒選手の応援で長野県茅野市役所の会場に集まった人たち。パブリックビューイングは自治体が主体の場合のみ認められた=共同

スポンサーの権利保護のため、選手を日常から支え、育ててきた企業や学校の活動が制限される。地域の人たちと一緒に応援したいという思いも形にできない。壮行会などの催しがメディアを通じて取り上げられることだけが問題にされるのではない。同僚や仲間が晴れ舞台に立つことを外部に周知することが許されないのだ。企業や学校が所属選手の五輪出場を祝う、あるいは五輪での活躍を報告する垂れ幕を出すことも、スポンサーでなければ認められない。

「JOCの指導は行き過ぎ」の声

選手が日常から世話になっている地域の商店街なども同様の扱いとなる。日本がメダルを取ったから特別セールをするとか、ランチを格安で提供するなどというのも分かりやすいアンブッシュ(不正便乗商法)。2年後の東京大会の時に各地の商店街などが「頑張れ! ニッポン!」などの横断幕を掲げるのも、厳密にルールを適用すればアウトとなりそうだ。ただ、これが震災からの復興のメッセージなら問題ないからややこしい。

自治体が主体ならOKとはいえ、民間の自由な参画がなければみんなで東京大会を盛り上げようとする機運も醸成されない。「JOCの指導は行き過ぎ」と非難の声が挙がるのはよく分かる。日本私立大学協会は改善を求める要望書を政府に提出した。

こうした反応は当然だとは思うのだが、JOCにもそうしなければならない理由はある。そもそもJOCの最大の使命は五輪運動を日本で盛り上げることだ。本来なら56年ぶりに地元で開催する夏季五輪の祝福ムードに水を差す指導などやりたいわけがない。

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