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再びの大舞台、成長示す スキー距離 阿部友里香

2018/3/6 11:41
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今季のワールドカップ(W杯)で一度も表彰台に立てていなくても、2月26日の日本選手団結団式に出席した阿部友里香(日立ソリューションズJSC)の表情は明るかった。

その半月前に行われた、平昌パラリンピック前最後となるフィンランドでのW杯の最終戦。スキー距離ロングの順位は5位ながら、「ずっと取り組んできたことがようやく出せ、いいイメージで終えられた」からだ。平昌では距離の「クラシカルスプリント」と、バイアスロンの中距離「ミドル」でメダルを狙う。

苦手だった下り坂の滑りも克服し、距離とバイアスロンでメダルを狙う阿部

苦手だった下り坂の滑りも克服し、距離とバイアスロンでメダルを狙う阿部

出生時の事故の影響で左肩がほとんど動かせず、右だけストックを持って左腕はベルトで固定して走る。左右のバランスがどうしても崩れるため、2016年6月から週2回程度通う国立スポーツ科学センター(JISS)でゼロから体づくりに着手。スピードを出してもぶれない姿勢や動きの模索を始めると、苦手にしていた下り坂での滑りが変わった。

16年12月のW杯、コース終盤でのこと。下りのカーブで多くの選手が減速する中、ためらわず内側の最短コースに向かった。バランスを保ちながら積極的に攻め、前方にいた2人を抜いて初優勝。「恐怖心はなく体が動いた。気持ちにも余裕があった」。今も思い出す会心のレースだった。

スキーを平行にして走る得意のクラシカル走法の向上へ、試行錯誤は続く。強豪のウクライナ勢らは阿部より障害が軽く、両腕を振る。タイム補正の仕組みはあっても大きなリードにはならないため、本気でメダルを狙うなら推進力を高めるしか道はない。

トレーナーとのストレッチで左肩の可動域をわずかに広げたり、肩の下にある広背筋や腰回りを強化したり。猫背になっていた姿勢も見直した。練習や試合のたびに上半身と下半身の連動を試し続けた結果、「動かないなりに力を伝えることができるようになってきた。もやもやしていたが、最終戦で自分の力を出せた」。本番直前、ようやく光明が見えてきた。

岩手県山田町出身で現在は大東文化大の4年生。中学2年だった10年にテレビでバンクーバーパラリンピックを見て障害者スキーに関心を持ち、本格的に競技を始めようとした矢先の11年3月、東日本大震災で自宅が被災した。スキーの強豪、盛岡南高に進学。高3で14年ソチ大会に初出場し、8位が最高だった。

JISSのトレーナーの目には、ギラギラした勝負師とは正反対の「優等生タイプ」と映ることもある22歳。「前回は雰囲気にのまれた。今回は心と体を合わせる準備をしてきたつもり。教えてくれた方の思いも全部ひっくるめて出したい」。2度目の大舞台。4年間で成長した姿は結果で示すと誓っている。

(鱸正人)

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