2018年6月21日(木)

フェイクニュースと戦う7つのスタートアップ
CBインサイツ

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スタートアップ
コラム(テクノロジー)
2018/3/12 2:00
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CBINSIGHTS

 架空の情報を流し選挙を左右したり、スポンサー企業の評判をおとしめたりする「フェイク(偽)ニュース」の脅威が増している。偽ニュースを拡散したとして米フェイスブックなどに厳しい視線が注がれる一方、対策や防御に挑むスタートアップが相次ぎ登場している。世界のスタートアップの動向を分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)がピックアップした7社を紹介する。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しました。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するレポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載します。

資金調達額(公表ベース、以下同):1億2910万ドル
最新の資金調達ラウンド:16年8月のシリーズC、調達額は2100万ドル
主な投資家:ベッセマー・ベンチャーパートナーズ、ファウンドリーグループ、テックスターズ・ベンチャーズ

資金調達額(公表ベース、以下同):1億2910万ドル
最新の資金調達ラウンド:16年8月のシリーズC、調達額は2100万ドル
主な投資家:ベッセマー・ベンチャーパートナーズ、ファウンドリーグループ、テックスターズ・ベンチャーズ

■偽ニュースを配信するボットを識別

 【ディスティル・ネットワークス】 1億2900万ドル(約136億円)を資金調達した米ディスティル・ネットワークスは、偽情報の配信元が人間なのか、決められた処理を実行するプログラム(ボット)なのかを識別し、制御する。

 ボットは一連の偽ニュースの主な配信元になった。サイバーセキュリティー関連調査会社インパーバによると、17年のインターネットのトラフィックのうち、ボットは52%を占めた。こうした自動化された脅威を検知する技術に加え、そのブロックも手掛けている。機械学習の手法で攻撃パターンを瞬時に解析し、「デバイス・フィンガープリンティング」と呼ばれる端末識別技術でボットの攻撃元を突き止めるしくみだ。

資金調達額:80万ドル
最新ラウンド:17年1月のシードラウンド、80万ドル
主な投資家:ブルーヤードキャピタル、フレッド・アーサム氏、ピョートル・スモーレン氏

資金調達額:80万ドル
最新ラウンド:17年1月のシードラウンド、80万ドル
主な投資家:ブルーヤードキャピタル、フレッド・アーサム氏、ピョートル・スモーレン氏

 【ユーザーフィーズ】 偽ニュース問題が出現したのは、SNSが読者の「いいね」や好意的な反応の数を基準に、さらに目立つ場所に表示するようにしたことが一因だった。こうした基準はコンテンツの正確さとは無関係で、ボットなどの一斉攻撃で簡単に操作できる。

 米ユーザーフィーズが構築するシステムはブロックチェーン(分散型台帳)技術を使う。「いいね」の数に左右される消費モデルとは逆のシステムだ。情報に対して支払われたデジタルトークンによってその情報の正確さや質を示す「ランキングアルゴリズム」の開発に取り組んでいる。

 同社のねらいはコンテンツの整合性を中心においた経済的インセンティブをつくり出すことだ。全てのコンテンツが「トークン化」されれば、コンテンツの読まれ方はオープンで検証可能なデジタル取引で裏打ちされる。コンテンツキュレーターは自ら収集・選別したコンテンツの正確性に責任を負うことになる。

資金調達額:4800万ドル
最新ラウンド:17年9月のシリーズC、2600万ドル
主な投資家:パッションキャピタル、ストームベンチャーズ、テンイレブン・ベンチャーズ

資金調達額:4800万ドル
最新ラウンド:17年9月のシリーズC、2600万ドル
主な投資家:パッションキャピタル、ストームベンチャーズ、テンイレブン・ベンチャーズ

■偽ニュースの温床「ダークウェブ」監視

 【英デジタルシャドウズ】 ハッカーなど悪意がある人間の「ダークウェブ」での行動を把握する製品を提供する英国のスタートアップだ。ダークウェブとは、暗号化されたネットワーク上に存在するウェブサイトで、通常のブラウザや検索エンジンではアクセスできず、偽ニュースの温床になっている。これを独自技術で監視し、攻撃に関する情報分析をおこなう。放送局などが顧客だ。偽サイトやSNSでの偽プロフィール、有名ブランドのなりすまし会社のドメインを見つけ、削除通知を出す。

資金調達額:3500万ドル
最新ラウンド:17年7月のシリーズB、2300万ドル
主な投資家:カナーン・パートナーズ、データコレクティブ、ベルテックス・ベンチャーズ

資金調達額:3500万ドル
最新ラウンド:17年7月のシリーズB、2300万ドル
主な投資家:カナーン・パートナーズ、データコレクティブ、ベルテックス・ベンチャーズ

 【ペリメーターX】 人工知能(AI)のアルゴリズムを使えば、どの訪問者がボットか(したがってブロックすべきか)を判断できる。ボットのオンライン上での行動は人間とは異なるからだ。米ペリメーターXはサイト訪問者の行動をこうした技術を使って追跡し、ボットによる攻撃に対処する。同社の技術をメディア各社のソフトウエアと連携させ、乗っ取り攻撃やコンテンツを盗み取るウェブスクレイピングから守る。

資金調達額:110万ドル
最新ラウンド:17年9月のシードラウンド、75万ドル
主な投資家:マーク・キューバン氏、マーク・ピンカス氏、ロス・メイソン氏、スニール・ポール氏

資金調達額:110万ドル
最新ラウンド:17年9月のシードラウンド、75万ドル
主な投資家:マーク・キューバン氏、マーク・ピンカス氏、ロス・メイソン氏、スニール・ポール氏

 【ファクトマータ】 英ファクトマータは、AIを使った2つの「確認ツール」の開発に取り組んでいる。一つはジャーナリストや新聞の読者向けで、情報を即座に検証し事実かどうか確認できるようにする。もう一つは広告主や企業に「品質スコア」を提供し、不正確だったり誤解を招いたりするコンテンツへの広告掲載を避けられるようにするツールだ。AIを活用した「事実確認コミュニティー」の構築を進めている。

資金調達額:不明
最新ラウンド:不明
主な投資家:不明

資金調達額:不明
最新ラウンド:不明
主な投資家:不明

■「検索エンジンの反対」

 【クリスプシンキング】 アルゴリズムを使ってネット上で情報を収集し、各社の事業にダメージを及ぼしかねないコンテンツの配信源を把握する。アダム・ヒルドレスCEOは同社のサービスを「検索エンジンの反対」と説明する。広告を出すことで評判が損なわれるようなコンテンツを掲載している全てのサイトを示すのが同社の仕事だからだ。ヘイトスピーチや人種差別、テロなどのコンテンツに関連する問題に直面している企業のサポートを手がける。

資金調達額:不明
最新ラウンド:16年10月、シリーズAの2回目、調達額は不明
主な投資家:オミダイア・ネットワーク、マーカス・ブラッシュリー氏

資金調達額:不明
最新ラウンド:16年10月、シリーズAの2回目、調達額は不明
主な投資家:オミダイア・ネットワーク、マーカス・ブラッシュリー氏

 【ラップラー】 調査報道を得意とするフィリピンのニュースサイトだ。社名は「ラップ(議論する)」と「リップル(波風を立てる)」に由来している。

 同社は偽ニュースの標的であると同時に偽ニュースと闘う自警団でもある。このほど「ボット」を使った偽ニュースの拡散に関する調査報道で米国民主党国際研究所(NDI)のデモクラシー賞に輝いた。

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