「デジタル中国」を促進、全人代の政府活動報告要旨

習政権
中国・台湾
2018/3/5 16:00
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中国の第13期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の第1回会議で、李克強(リー・クォーチャン)首相が5日に実施した政府活動報告の要旨は次の通り。

全人代が開幕し、政府活動報告をする李克強首相(5日午前、北京の人民大会堂)=三村幸作撮影

 中国全人代に臨む習近平国家主席(左)と李克強首相=5日、北京の人民大会堂(共同)

【過去5年の回顧】習近平(シー・ジンピン)同志を核心とする(共産)党中央は、改革開放と社会主義現代化建設のあらゆる分野で新局面を切り開いた。国内総生産(GDP)は82兆7千億元(約1400兆円)に増え、年平均7.1%伸び、世界経済に占める割合が15%前後に高まった。

【2018年の経済目標】我が国経済は発展パターンの転換期にあり、まだまだ「坂を登り峠を越える」必要がある。GDP成長率は6.5%前後、消費者物価の上昇率は3%前後を目標とする。都市部の新規就業者数を1100万人以上とし、失業率を抑え、住民所得の伸び率を経済成長率とほぼ同じにする。国際収支を基本的に均衡させる。

【財政・金融】18年の財政赤字は2兆3800億元で、対GDP比で2.6%とし、17年の予算より0.4ポイント下げる。18年の全国の財政支出は21兆元とし、支出規模をいっそう拡大する。財政支出構造の最適化を図る。

現預金や貸し出しを合理的に増やし直接金融、特にエクイティ・ファイナンス(新株発行を伴う資金調達)の割合を高める。資金が中小零細企業などに多く投下されるように実体経済を支える。

【供給側の構造改革】 18年は鉄鋼生産能力を3千万トン前後、石炭生産能力を1億5千万トン前後削減する。基準を満たしていない30万キロワット以下の石炭火力発電設備は廃棄または閉鎖・停止する。不採算にもかかわらず生き残っている「ゾンビ企業」の清算や再建にいっそう力を入れる。

ビッグデータや人工知能(AI)などの研究開発を強化し、多くの分野で「インターネットプラス」戦略を推進する。モバイルデータ通信のパケット料金を年内に少なくとも30%引き下げ「デジタル中国」の建設を促進する。集積回路や次世代通信規格「5G」、新エネルギー自動車などの産業を発展させる。(製造業の高度化を図る)「中国製造2025」のモデル区を創設する。

【減税】(日本の消費税に相当する)増値税率の水準を調整し、製造業や交通運輸業などの業種の税率を重点的に引き下げる。企業所得税の半減優遇政策の対象となる中小零細企業の範囲を大幅に拡大する。通年で企業や個人の税負担を8千億元以上減らす。企業の保険料負担割合を段階的に引き下げる。一般工業・商業用の電気料金を平均で10%引き下げる。

【技術革新】国家融資保証基金を設立し、革新型優良企業の上場による資金調達を支える。ベンチャー投資などに対する租税優遇政策の試行範囲を全国に広げる。外国人材が中国に来て働きやすくなるようビザなどの制度や手続きを改善する。

【国有企業改革】国有企業の合理化・再編を引き続き推し進める。全人代常務委員会に国有資産管理の状況を報告する制度をしっかり実施する。民間企業の発展を後押しし、親身で清廉な「新型政商関係」(政府と民間企業の関係)を構築する。

【不動産税など】地方税体系を整え、不動産税の立法を着実に推し進める。財産権の関連法律・法規を整備する。知的財産権の保護を強化し、権利侵害に対する懲罰的賠償制度を実施する。

【金融・社会保障】地方の中小金融機関を規範的に発展させ、中小零細企業の資金繰り問題の解決に力を入れる。金利・為替レートの市場化改革を深化させ、人民元為替レートの合理的な均衡水準での基本的安定を保つ。養老保険制度改革を深化させ、地域間の基金格差が無くなるよう中央が調整する制度を確立する。

【リスク管理】不法な資金集めや金融詐欺などの違法行為を厳しく取り締まる。債務の株式化と企業の合併・再編を加速させる。金融機関のリスクの内部統制を強化する。シャドーバンキング(影の銀行)やインターネット金融、金融持ち株会社などに対する監督管理を充実させる。地方政府の債務リスクを防止・解消する。18年は地方特別債を17年より5500億元増やして1兆3500億元とし、建設中のプロジェクトが順調に進むように支援する。

【貧困・環境】18年は農村貧困人口を1千万人以上減らす。18年は二酸化硫黄(SO2)と窒素酸化物(NOx)の排出量を3%減らす。農村の居住用の土地の所有権や使用権の分離改革を模索する。給水や給電、情報などのインフラを改善し、農村道路を20万キロメートル新設または改修する。トイレをきれいにする「トイレ革命」を推し進める。

【地域発展】北京の首都機能以外の機能分散を狙い、(河北省の新都市)「雄安新区」を建設する。西部大開発に関する新たなガイドラインを定める。海洋経済を大きく発展させ、国家の海洋権益を断固として守る。農業からの移転人口の市民化を進め、18年は1300万人の都市部への転籍・定住を実現する。

【インフラ投資】鉄道投資7320億元、道路・水運投資1兆8千億元前後を達成し、建設中の水利プロジェクトへの投資規模が1兆元に達するようにする。鉄道や民間航空などの分野で必ず民間資本が参入して成長できるようにする。

【一帯一路・市場開放】(中国が主導する広域経済圏構想)「一帯一路」沿線諸国と通関業務効率化などの協力を深める。電気通信や医療、教育、介護、新エネルギー自動車などの分野の開放を拡大する。銀行カード決済などの市場を秩序だてて開放し、外資系保険販売の経営範囲規制を廃止する。銀行や証券などの外資持ち株比率規制を緩和もしくは撤廃し、中国資本の銀行と外国資本の銀行の市場参入基準を統一する。輸入を積極的に広げ自動車や日用品などの輸入税を引き下げる。

【通商】中国は揺らぐことなく経済のグローバル化を進め、自由貿易を守り抜く。関係各国とともに多国間貿易交渉を推し進め、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉を一日も早く妥結し、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)と東アジア経済共同体の建設を加速したい。中国は保護貿易主義に反対し、自らの合法的な権益を断固として守る。

【消費・民生】新エネルギー自動車の取得税優遇政策を3年延ばす。オンラインショッピングと宅配便の健全な発展を促す。個人所得税の基礎控除額を引き上げ、教育費や重大疾患医療費などの特別控除を増やす。食品・医薬品の監督管理方式を改め、消費者が安心して購入できるようにする。住宅難に苦しむ低所得世帯に必ず住宅が保障されるようにする。「住宅は投機のためのものではない」という見地を堅持し、不動産市場の安定的で健全な発展を促す。最低生活保障などの基準を着実に引き上げる。

【行政改革】市場参入の際の審査や認可を減らし、商業登記さえ終わればひとまず開業できるようにする。建設プロジェクトの審査や認可にかかる時間を半減する。オンラインでできる手続きを増やす。機構の設置や人員配置を合理化し政府の信頼性と執行力を高める。各地方政府と公務員は人民のために実行することこそが責務で実行しないのは職務怠慢にほかならない。

【国防・治安】揺らぐことなく中国の特色ある強軍の道を歩み、国家の主権・安全・発展の利益を断固として力強く守らなければならない。国防・軍隊改革を推し進め、強固な現代的国境・領海・領空防衛体制を構築する。暴力テロ活動を断固として取り締まり、「(犯罪集団などの)黒社会を一掃し、悪を取り除く」特別闘争を展開する。

【香港・台湾政策】(香港に高度な自治を認める)「一国二制度」の方針を貫徹する。台湾については「一つの中国」の原則を堅持し、「台湾独立」をもくろむいかなる行動も断じて許さない。

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