2018年7月23日(月)

年金130万人に過少支給 2月、控除申告書の様式変更で

2018/3/3 23:00
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 今年2月に支給された公的年金で、およそ130万人の受給者について所得税が控除されず、支給額が本来より少なかったことが3日、分かった。日本年金機構が書類の様式や記入項目を2017年に大きく変更し、受給者が控除に必要な申告書に気づかなかったことなどが原因。正規の手続きを済ませた人には、4月の支給分で不足分を上乗せする。

 今回の過少支給問題は機構側のシステム上の不具合や人為的なミスで発生したものではなく、ひとまず対象者が膨らむ恐れはない。ただ、約130万人にのぼる年金受給者に影響が及び、複雑な手続きや年金受給者への周知活動が不十分だった面も否めず、機構側の運営上の姿勢が改めて問われる。

 年金を受け取る人の中でも65歳未満で年収108万円以上、65歳以上で同158万円以上の人には所得税がかかり、年金支給額から源泉徴収される。対象者が様々な所得税の控除を受けるためには、毎年機構が送付する「扶養親族等申告書」を記入して返送する必要がある。

 対象者はサラリーマンOBなど厚生年金受給者らに多いようだ。

 機構は昨年8~9月に対象となる見込みの約795万人に申告書を送った。だが、税制改正やマイナンバー制度の導入に伴いデータを整え直すため、申告書の様式をこれまでの往復はがきからA3用紙に変更した。従来の往復はがきでは「変更なし」にチェックするだけで済んでいたが、記入事項もマイナンバーや所得を詳しく聞く追加項目が増えるなどして複雑になっていた。

 申告期限は昨年12月11日だったが、様式変更などに気づかず未提出のままだったり、送付書類に記入ミスがある高齢者が多発。今回の申告は2月15日の支給分から反映されたものの、約130万人で本来よりも支給額が少ないケースがあった。所管する厚労省は全体の影響額を明らかにしていない。年金額が2カ月分で数万円程度少なかった人もいるもようだ。

 機構は2月末までに申告書の提出があった人については、次回の4月分に上乗せして支払う。申告書の提出が3月以降になると、支払いは5月支給分以降になる見通しだ。機構はこの問題に対応するための窓口を設置。問い合わせはフリーダイヤル(0120)051217で、受け付けは平日の午前8時半~午後5時だ。

 来年度からは今回提出してもらった申告書の写しを受給者に送付し、変更があるかどうか確認してもらう。手続きは簡便になるため、厚労省では今回のような問題が広範に起きるリスクは低いとみている。

 これとは別に受給者が正しく申告したにもかかわらず、データ入力を委託した業者のミスも一部で見つかった。機構は申告書を提出した約500万人のデータについて確認することにしている。

 年金機構を巡っては昨年、配偶者の基礎年金に上乗せする「振替加算」と呼ばれる加算措置で約10万6000人に対し、総額約598億円の年金が支払われていなかった問題が発覚。15年にもサイバー攻撃で機構から125万件にのぼる個人情報が流出する大規模な不祥事も起きている。

 機構は2月13日に今回の問題についてホームページで公表したが、報道機関への発表はしなかった。厚労省の担当者は「対象者には源泉徴収額が変更されたことを通知した。余計な混乱を招かないよう配慮した」と説明するが、通告の努力が不十分で、受給者に十分な情報が行き渡らなかった可能性もある。

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