2019年3月20日(水)

パウエル議長、株安静観 相場調整「我々の仕事でない」
就任後初の議会証言終える

2018/3/2 15:00
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は上下両院で初めての議会証言を終え、2018年の利上げペースを加速する可能性を示唆した。就任初日に株価急落に見舞われたが「金融システムは健全だ」と静観姿勢を保った。グリーンスパン氏ら歴代議長は株式市場を重視してきたが、新体制は実体経済の強さに自信を深めている。

上院議員「経済成長という観点でみれば、株価は下がるより上がる方がいいのでは」

パウエル氏「その通り。けれども株式市場で誰かが損するのを止めたり、誰かが得するようにしたりするのは、我々の仕事ではない」

2月5日に第16代議長に就任したパウエル氏は、その日にいきなり金額ベースで過去最悪の株価急落に襲われた。就任後初めてとなる議会証言では、市場の動揺に配慮するかが一つの焦点だったが、相場への言及はきわめて素っ気なかった。

イエレン前議長は2年前の16年2月、中国発の世界同時株安に見舞われて、同じ議会証言の場で利上げ減速を宣言したことがある。就任2カ月で「ブラック・マンデー」の直撃を受けたグリーンスパン氏を筆頭に、歴代議長は世界の金融資本市場に目配りした政策運営を余儀なくされてきた。

パウエル氏が株式市場の動揺を当面静観する姿勢をみせたのは「景気見通しは力強さを増している」ためだ。失業率は4.1%に低下。米労働省が1日発表した新規失業保険申請件数は約48年ぶりの低水準となり、労働市場の逼迫は鮮明だ。同日発表の個人消費支出物価指数も前月比ベースでは高い伸びとなった。

16年の世界同時株安時は、中国の景気減速が強く意識され、米国も輸出が4年ぶりの低水準に沈んだ。企業の景況感は「不況」レベルにまで落ち、イエレン氏は年4回の利上げシナリオを1回にとどめて景況感の回復を急がざるを得なかった。

足元の世界経済は同時成長の局面で、米経済は大型減税でさらに上振れの可能性がある。パウエル氏は「インフレに後手に回れば、急激な利上げを余儀なくされ、景気後退を招きかねない」と強調。株式市場の調整が続く中でも緩やかな利上げペースを堅持するとした。

「年4回の利上げでもペースは緩やかだ」。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は1日、訪問先のブラジルでそう語った。これまでFRB高官は「年3回の利上げが合理的だ」(ダラス連銀のカプラン総裁)としてきたが、年4回を容認する発言がいよいよ出始めた。パウエル氏の強気な議会証言は、各高官の利上げ加速論を後押しする可能性がある。

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