2019年2月16日(土)

アルプス・アルパイン統合 栗山社長、委任状争奪でも勝算

2018/3/2 11:37
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アルプス電気とアルパインが2019年1月に計画する経営統合で、香港の物言う株主、オアシス・マネジメント・カンパニーとの対立が続いている。アルプスは統合を3カ月前倒しすると発表したが、アルパインの株式の約1割を保有するオアシスは株式の評価が不当に低いと異議を申し立てており、6月下旬の株主総会で委任状争奪戦に発展する可能性もある。アルプス電気の栗山年弘社長に聞いた。

アルプス電気の栗山社長

アルプス電気は「CASE」対応を急ぐ自動車メーカーに次世代コックピットの開発を提案している

――統合を前倒しする方針について取引先や株主の反応は。

「『シナジーを着実に早く出せ』というのが株主の全体的な意見。IRで会った株主は今回の変更を前向きに受け取ってくれた。顧客である国内外の自動車メーカーからは『提案できるサプライヤーになってほしい』と強く言われた」

――オアシスが株式交換比率に対して異議を申し立てています。

「アルプスとアルパインは企業価値を高め、特定株主だけでなく、株主全体に利益になることを目指している。昨年7月の統合発表時には第三者委員会を含めて単年度業績だけでなく将来の業績、キャッシュフローを含めて話し合い、比率を出した。今回、将来を含めてどうなるかもう1回検証した結果、当初想定内に収まっていたので変更しなかった」

――オアシスとの話し合いは考えていますか。

「オアシスはアルパインの株主なので、アルパインと話しているはず。アルプスもオアシスが『話したい』と言うのであれば応じるつもりだが、まだ話し合いの機会は持っていない」

――委任状争奪戦に発展した場合は。

「アクティビスト対策は色々あるが、広く株主の理解を得るにはアルプスの企業価値を高め、結果として株価を高めることに尽きる。アルプスとアルパインの株価はある程度連動しており、アルプスの株価が上がればアルパインの株価も上がり、アルパインの株主も納得するのではないか」

「(委任状争奪戦に発展しても)アクティビスト以外の株主は両社の統合案に賛同してくれると思っているし、そうなるようにしていきたい。TOBの実施も言われるが、アルプス株は流通量も多く売買高も高い。アルプス株に交換しても換金性は高い。アルプス株に交換した後でもキャピタルゲインは十分得られるのではないか」

――顧客の自動車メーカーからはどのような要求を受けたのですか。

「アルプスは入力系、アルパインは音や映像の出力に強く、合わせれば次世代の車のコックピットがつくれる。アルプスはコネクテッドカーと自動運転、シェアリング、電動化を合わせた『CASE』の領域の様々な技術を開発し評価されている。車メーカーはそれらの開発をメガ『ティア1』に委託しないとリソースが足りなくなっている」

「車メーカーは『商品を買ってECU(エンジン制御機器)につなぐだけでいいようにしてほしい』と言う。アルプスはそこまでできるリソースもなく、標準化したデバイスを多くの顧客に売ろうとしていた。ソフト開発力があるアルパインと統合すれば開発できるという声が多かった」

「自動車メーカーから『CASE』対応の要求が強まっている。独ボッシュやコンチネンタル、デンソーに頼めば何とかしてくれるが、個性が埋没する。自動運転は自動車のコモディティー化を加速させる。いかに差別化するかが生き残りのカギを握る。トヨタはデンソーがやってくれるかもしれないが、他社はそこまで強い系列がない。アルプス・アルパインに対する期待の高さを今回強く感じた」

――2019年3月期以降、どういう成長を描いていますか。

「スマートフォン(スマホ)はピークアウトしたかもしれない。中国のスマホの旗艦機種はマイナス成長になりそうだ。過去数年のようにスマホ1本だけで成長はできないというのが共通認識で、次の成長は車。その次があらゆるモノがネットにつながる『IoT』だ」

「車メーカーはCASEに圧倒的な開発資源を投じている。ただCASEを入れても価格が上がるわけではない。従来の内燃機関と部品はコモディティー化が進み、技術開発よりコスト削減が優先される。アルプスもCASE領域で伸ばさないといけない。アルパインとの統合について『ナビなんてスマホでいいじゃないか。なぜそんなところに金を使うのか』という株主もいた。そういう危機感もある。連結営業利益710億円のうち約4割を車で稼いでいるが、早急に5割に上げたい。その先は車とIoTをつなげていきたい」

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