2018年8月15日(水)

ロシアが新型ICBM開発 プーチン氏、選挙控え誇示

2018/3/1 23:44
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 【モスクワ=小川知世】ロシアのプーチン大統領は1日、今後の施政方針を示す年次教書演説に臨み、「世界中どこでも到達可能な新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発した」と表明した。複数の核弾頭を搭載し、米国のミサイル防衛(MD)網を突破できると主張。18日の大統領選を前に「強いロシア」を国内外に誇示した。

 今回の演説は事実上の選挙公約の表明と位置づけられている。演説は例年の倍以上の2時間にわたり、後半の約40分を新型兵器の説明に充てた。兵器の動画を示すために初めてクレムリン(大統領府)の外に会場を移して実施した。

 大型スクリーンに新型兵器の実験風景の映像やインフォグラフィックスを次々に映し出し、「このような兵器は世界中どこを探してもない」などと高揚した様子でアピールした。

 複数の核弾頭が搭載可能なICBMなどの新型兵器は、米国が欧州とアジアで展開するミサイル防衛への対抗を意識したものだ。原子力エンジンを搭載した巡航戦略ミサイルや爆撃機用の超音速ミサイルなどの開発も発表した。

 日本が導入する地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を含む米国のMD網整備などロシア周辺国での軍備を無力化すると強調した。同時に「攻撃に使う意図はない」とも述べ、欧米の出方次第で関係改善に応じる姿勢も見せた。

 戦略核兵器を重視した兵器開発は、トランプ米政権が2月に発表した新たな核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」に対するロシアとしての回答だといえる。

 NPRはロシアの抑止を意識して核戦略を転換し、通常兵器やサイバー攻撃への反撃に核兵器を使用する選択肢を示し、局地的な攻撃のための小型核兵器や新たな巡航ミサイルの開発にも言及している。プーチン氏には新型兵器を誇示して緊張をあおる手法で、米国を交渉のテーブルにつかせる思惑がありそうだ。米ロは冷戦終結後、核軍縮を進めてきたが、その潮流は後退しつつある。

 プーチン氏は演説の前半を内政問題にさいた。現在、国内総生産(GDP)の7割を占めるとされる国営企業の民営化などの改革に着手し、技術革新によって経済成長を実現すると強調した。国民所得の引き上げや貧困者層の削減などの目標にも言及した。

 こうした目標は過去にも繰り返し表明してきたが、具体策には触れず、経済停滞から脱却する道筋は描けていない。演説後半に新型兵器を視覚的に披露し、「強いロシア」を訴えることで、国威発揚につなげる狙いがあるとみられる。今後も対外強硬路線を国内での求心力に結びつける手法を続ける可能性が高い。

 大統領選はプーチン氏の再選が確実視され、事実上の信任投票になる。これまで具体的な選挙公約を語っておらず、今回の演説が注目されていた。プーチン氏はほかの候補者との討論会にも加わらず、具体的な政策や課題は議論されないまま選挙に突入する。

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